特集(クローズアップ)
次世代を担う開発者に聞く
ソディックのものづくりにおける
「こだわり」について教えてください。
今回「圧倒的な高性能」を命題に、全社一丸となって開発に取り組んだのがSLシリーズです。私は機械を制御する数値制御装置の開発を担当していますが、ソディックは駆動系、制御系、機械系、電気系という機械におけるコア部分の技術をすべて自社開発しているんです。いわば、放電加工機は、「ソディックの開発力と技術力の結集」ではないでしょうか。
同感です。私が担当しているのはワイヤ電極線という、金ノコで言えばノコギリの刃に該当する部分ですが、実は放電加工機メーカーでワイヤ電極線を作っているのは、世界でもソディックだけなんです。素材部分も含めて自社開発しているというのは、他社にはない大きな強みだと思います。
社外から部品を調達してくることもできますが、調達部品を集めて作った機械に我々が思うとおりの動きをさせようとしても、やはり限界があるんです。だったら、最適なものを自分たちで作るしかない。「問題解決のために必要なものが世の中にないなら、自分たちで作り出していこう」というのが、創業当初から受け継がれてきたソディックの開発精神ですよね。
そうやってカスタマイズを重ねてきたことが、開発力や技術力を向上させ、独自性の高い製品に結実し、競争力の源泉になっていると感じます。私は電源装置の中の放電回路を開発していますが、回路というのは非常に繊細で、例えば電流を流す量の調整を少しでも誤ると、すぐに装置が壊れたりプリント基板が燃えたりするんです。実験に失敗はつきものとはいえ、最初の頃はかなり落ち込みました。けれども、失敗してもあきらめないことが、実は開発において一番大切なポイントだと思います。
まさにそのとおりですね。私の担当は機械部分で、皆さんが開発されたすべての技術を搭載する、いわば土台になるところです。縁の下の力持ち的存在ですが、ここがうまく動かないとせっかくの技術を活かせなくなってしまうので、かなり試行錯誤しました。ソディックは放電加工機において世界トップシェアを誇っていますが、先頭を走るということは、教科書に載っていない新たなことに挑戦し続けるということです。だから当然、苦労も多い。けれども、結局は最後まであきらめなかったものが製品になっていくんだと思います。
忘れてはいけないのは、我々の開発の原点は「こういう機械がほしい」というお客様のニーズだということ。どうすればそれを実現できるかを常に考えねばなりません。だから、アイデアを思いついたら、まずやってみる。失敗したらまた考えて、うまくいくまでひたすらトライアンドエラーを繰り返す。
その過程は、まさにソディックの開発理念であり社名の由来でもある「創造(So)」「実行(di)」「苦労・克服(ck)」そのものです。ソディックは、研究も実験もやりたいようにやらせてくれますよね。私は今回設計を担当させてもらったのですが、私のような若手にもどんどん責任ある仕事を任せてくれる。こうした企業風土は開発に携わる者にとって非常にうれしいですし、やりがいも感じます。
こうした開発精神を受け継いでいくとともに、我々の次の世代にもしっかりと伝えていきたいと思います。
今後の目標についてお聞かせください。
常にアンテナを高くして、最新の知識や情報にキャッチアップしていく必要性を感じています。多様な知識や情報を積極的に吸収しながら、自分自身を日々進化させていきたいですね。
私も、自分の担当分野に関することはもちろんですが、他の領域からも思いがけないヒントを得られることもあるので、様々な勉強、研究をし、これまでにないものを作りたいと思います。
今回皆さんと一緒に開発に取り組んで、ワイヤ電極線開発にはまだ多くの可能性を秘めた未知の領域があることを再認識しました。多様な技術をスムーズに連携させられるのは、やはり社内で開発を行っている強みです。今後も一層の情報共有化を進め、各部署で蓄積してきた技術を緊密に連携させて、より良い製品を生み出していきたいと思います。
ソディックの製品がお客様に支持されている理由の一つは高性能で長寿命という点だと思います。これからもお客様の声に耳を傾け、「世の中にないものは自分たちで作る」という開発精神を貫き、ものづくりの発展に貢献していきたいですね。