ガバナンス
知的財産
知的財産権に対する基本方針
当社グループでは、商品・サービスを技術面で差別化する際の要素となる開発成果の権利化を重要視しており、知的財産権に対して次のような基本方針を定めています。
- 当社は、知的財産を重要な経営資産と認識し、知的財産の保護と活用に努めます。
- 当社は、知的財産に関する法令及び社内規定を遵守し、他社の知的財産を尊重します。
- 当社は、特許情報等の分析に基づき、適切な知的財産戦略を策定し、持続的な成長と企業価値の向上を目指します。
知的財産の管理体制
当社では、社長直轄の知的財産室が、当社グループ全体の知的財産業務全般を行っています。各事業部の知的財産を横断的に管理することで、グループ全体のシナジーを意識した知財戦略の立案を可能としています。
知的財産室のスタッフは、本社/技術・研修センターと加賀事業所の2拠点にそれぞれ配置され、技術者や経営層との連携を取りやすくしています。
IPランドスケープ
当社では、IPランドスケープを重要な知的財産業務の1つと位置づけています。IPランドスケープとは、特許情報や非特許情報を総合的に分析し、現状把握と将来予測を行い、その結果を経営戦略の策定や企業の意思決定に活用する手法です。IPランドスケープ業務を強化する一環として、専門資格である「AIPE認定知的財産アナリスト(特許)」を知的財産室の部員全員が取得することを目標としています。
攻めの知財
知的財産室では、無形資産への投資を将来の企業価値向上に確実に結びつけ、さらにこのサイクル短縮化をめざす「攻めの知財」として、2022年からIPランドスケープを推進してきました。“行動する知財”の精神のもと、各事業部の開発部門と企画部門にIPランドスケープのデモを実施してきました。
一例を挙げると、食品機械事業では、戦略策定会議の1つに知的財産戦略会議を組み込みました。同事業部では「安全で安心で健康な美味しい食文化の創造」をミッションに掲げ、この成長分野で「グローバルな総合食品機械メーカー」として当社の事業基盤を確立し、持続可能性向上につなげるという戦略目標を掲げています。CIP※や殺菌といった同事業部が差別化技術と捉える技術を中心に知的財産の観点から特許・非特許のビッグデータをもとに分析し、食品機械市場の成長性、当社の強み・弱み、潜在的な競合他社の技術の動向などを含めた市場分析レポートとしてまとめ、事業部での活動を支援しました。
- Cleaning in Placeの略で、分解することなく装置の内面を自動的に洗浄する定置洗浄を意味する
具体的な取り組み
- ブランド保護
企業ブランドは、当社グループが創業以来、築いてきた経営資産であり、利益の源泉です。特許権、意匠権、商標権等の知的財産権を組み合わせることで、この企業ブランドを保護し、さらなるブランド向上につなげていきます。
一方で、昨今、当社製品の模倣品と思われる商品が、ECサイトを中心に流通していることが確認されております。違法な模倣品販売業者に対しては、適切かつ正当に権利を行使し、ブランド保護に努めてまいります。
模倣品を購入されることがないよう、お客様には当社営業所または正規代理店からご購入いただくことをお願いしています。 - 人材育成
研究開発人材を中心に従業員に対する知的財産教育を定期的に行い、知的財産に関する知識を深め、権利化の重要性や活用方法を認識してもらうとともに、他社の知的財産を尊重する組織風土を醸成しています。
- 報奨金制度
会社が特許を受ける権利を承継した職務発明に対し、発明者の功績をたたえ発明を奨励するとともに、特許出願時及び登録時に報奨金を支払うことで、従業員の研究開発のモチベーションアップにつなげています。
また、特に会社の利益に寄与した発明については、別途、実績報奨金を支給する規定を設けています。
知的財産に関する目標と進捗
2019年に設定した保有特許件数、外国特許比率の目標をおおむね達成したため、2023年度以降は、IPランドスケープによる事業戦略への貢献と模倣品対策に注力しています。2008年に中国で当社商標が不正使用され、訴訟を含めた模倣品対策を続けてきました。保有商標登録も、2008年末の総数133件(うち中国17件)から2023年末に総数452件(うち中国96件)と増加しました。2022年には日本商標協会に入会し、円滑な商標登録をめざしてニース国際分類の改訂にも参加しました。今後も、商標権・意匠権の取得、訴訟、ECサイトのパトロールと削除申請、冒認商標出願の取消などを行っていきます。