インタビュー【ソディックユーザレポート】 愛知県 岡崎市
株式会社ハマダ工商様

AM (Additive Manufacturing)で
新たなものづくり
誰もできないことに価値

株式会社ハマダ工商様 導入したソディックの金属3Dプリンタ

樹脂やプレス金型の製作から少量の成形まで手掛けるハマダ工商は2023年2月、事業再構築補助金を活用し、金属3Dプリンタを導入した。水管を自由に設計した冷却効果の高い金型で、反りを抑えた防犯レンズカバーの成形品を提供するのが狙いだ。

「今後は金属3Dプリンタでしかできないものを作りたい」と話す、浜崎 幸男. 社長に同社の取り組みを取材した。

株式会社ハマダ工商様 本社外観

誰もしていないことを次々に追求

同社は1982年、金型設計の受託メーカーとして浜崎社長が創業した。浜崎社長は元々、部品メーカーで設備や金型の設計業務を担当。「当時の設計はドラフターによる手書きで、図面の不具合を加工でカバーしていた時代。設計が早く、図面の修正や成形まで手配できたことから、色んなユーザーから指名されていた」(浜崎社長)。

さらに、勤務先の社長から「加工を学べ」と言われ、CAM(当時は自動プロ)を習得。「NCが一般的ではない時代。職人にCAMの加工を見せた際『もう我々の時代じゃないなあ』とつぶやいたのが忘れられない」という。それ以上に感じたのが「誰もしていないことは儲かる」ということ。

こうした経験から、創業後は、設計の受託にとどまらず、ZAS型、ゴム、樹脂、プレスと相次いで金型製作に着手。だが「金型も事業の一つに過ぎない。儲けるには他社がしないことをする必要がある」との考えから、自社ブランド製品に参入。雨や風などに反応して自動で窓が開閉する「オートクローザー」や、ヘリカルギア・ウォームギア分割製法(特許取得済)を開発した。

特許を取得したヘリカルギアとウォームギア 特許を取得したヘリカルギアとウォームギア

時代の流れも鑑み金属3Dプリンタを導入

そんな浜崎社長が金属3Dプリンタの有用性を検討し始めたのは7年ほど前。CAMを学んだ際に「他社にできないものづくりは儲かる」という原体験があったのだろう。また、「必要な材料しか使わないので省エネのものづくりができる。SDGs(持続可能な成長目標)という時代の流れにも合致する」(浜崎社長)。

そして2023年2月、4度目となる事業再構築補助金を活用し、ソディックの金属3Dプリンタ「OPM250L」を導入した。狙いは樹脂金型に自由水管を造形し、ヒケや反りを抑えた防犯レンズカバーの成形品を作ること。「防犯レンズの性能は上がっていても、それを最大限活かすために、カバーの透過度を高める必要がある。ヒケや反りを抑えるには自由水管が造形できる3Dプリンタによる金型が必要」(樹脂部・金属部の安江高志部長)とし、すでに試作品を製作した。

優れた面粗さが求められる防犯レンズのカバーの金型を造形 優れた面粗さが求められる防犯レンズのカバーの金型を造形

様々な工夫で活用方法を拡大


造形した「香り立つふくろうさん」は
中が空洞で、
御香を入れることができる

ただ、金属3Dプリンタの活用は、防犯レンズカバーだけにとどめるつもりはなく、多様な領域に展開していく考えだ。浜崎社長はすでにいくつかの用途を描いている。まずは肉厚の偏った成形品向けの金型。「自由な冷却水管が設計できるのでこれまで造形しづらかった部品を作ることができる」。あとはアンダーカットのある部品。「『どうやって作ったのか』と思わせる、3Dプリンタでしかできない部品を作りたい」という。

CAMの時のように、誰もできない加工は他社にない武器になるだけでなく、「価値を作る手段にもなり得る」と話す浜崎社長。70歳を迎え「もう引退したい」と笑うが、挑戦する意欲はまだまだ衰えていない。


浜崎 幸男. 社長


「令和4年度 おかざき健康宣言優良事業所」
では最優秀の金賞を受賞
株式会社ハマダ工商
住所
〒444-0844
愛知県岡崎市天白町清水2-1
TEL:0564-54-0552
FAX:0564-53-0579
代表者
浜崎 幸男.
設立
1982年
従業員数
30人
営業品目
  • 各種金型設計製作
    樹脂金型・ゴム金型・鋳造金型・プレス金型・試作金型
  • 樹脂成形
  • 機械加工による試作品製作
  • 自社製品 AUTO CLOSER の製造
  • ヘリカルギア駒の製作販売、及び成形品の製作・販売
URL
https://www.hamakou.co.jp/

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