薄物の絞り、曲げ、抜き
多様なプレス技術だからできる高いコストパフォーマンス
製造業が拠点を海外や地方に移す理由の一つがコストダウンだ。
だから、地代が高い東京でのものづくりは年々難しくなっている。実際に2017年の都内の製造業者数(4人以上)は約1万社と過去10年で半減した。そんな都内で製造業を続けるには独自の強みや高付加価値のものづくりが欠かせない。
東京都墨田区で、金型から順送プレス加工まで一貫して手掛けるヨシズミプレスは、継続的に付加価値の高い部品を生み出し続けている。スマートフォン(スマホ)や文具、車載用と種類の広さも特徴的だ。
創業は1950年。ケトバシ(足踏みプレス)1台でハンドバッグの留め具の加工などの雑貨からスタートした。93年には金型も内製化し、その後、リチウムイオン電池やスマホ、車載用など様々な部品を手掛けてきた。
幅を広げたのは「ある部品に特化し痛い目にあった」(吉住研専務)こともあるからだが、そうした様々な経験から得た、絞り、曲げ、抜きなどの多様なプレス技術のノウハウが強みの一つだ。
自社製品だけでなく、事業のメーンとなる部品加工でも、新分野の開拓に余念がない。今後ターゲットとする一つが産業用ドローンの電池だ。「ドローンの活用は今後増えていく。中国のシェアが高いが、組み込む電池には高い精度が必要で、我々の技術を活かせる部分も多い」とみる。
新分野に相次ぎ挑戦する同社だが、将来伸びる分野やニーズを発見するのは難しい。吉住専務は「定期的に新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)などのサイトを見て、10年後伸びそうな分野を考える」と独自の方法で将来のネタを探しているという。
今後についても、技術を磨き、将来の成長市場を見極めながら、「他社が追随できない技術を求めたい」と、墨田区発の高付加価値なものづくりを追求していく。
他社ができなかったコネクタ関連部品を成功させたのも、絞りの技術があったからだ。
「絞りをしないコネクタメーカの発想では加工できなかった。ユーザとの議論のなかで、絞り技術を活かせば作ることができると分かった」(吉住専務)。
今後も「コネクタは密封性の高さが要求され、絞り技術はより重要になる」とみる。
カートリッジにはワッシャーがはいっている。インクの凝固を防止する複数のボールを留める部品である。
従来は切削加工していた部品を、プレス加工に置き換えることに成功。
手にしたペンがスッと馴染み常用するようになったことはありますか。デザインが良いし、耐久性も高い。毎日使うから愛着がでる。ある文房具の部品では、成形後の管理をしやすくするために、ユーザに形状変更も提案し採用された。
「1点あたりの価格は手頃、けれども部品の一つ一つは装飾品。作り甲斐のある製品」と吉住専務。以前は、プレス後の次工程で、この部品同士が絡まり合う事が多かったが、ヨシズミプレス考案のこのカエシを加えたことで工程の不具合を解決し生産性が向上した。
ものづくり全体を俯瞰し、様々な配慮をくわえた提案ができるため、歩留まり向上の実績がたくさんある。
LINE HOOK/DOT HOOK
貼って剥がせるフック。ピタシートという特殊な吸着シートを使ったフックです。
ガラス、ステンレス、金属塗装面(冷蔵庫など)の平滑面にピタっと貼り付き、繰り返し使えます。カラーバリエーションが多数あります。
MINI CLIP
書類をまとめたり、写真を飾ったり、オフィスや家の様々なシーンで活躍するミニクリップ。
吉住専務のコメント
「かねてから自社製品はやりたかった。自ら作ったものが店頭に並ぶことで、社員のモチベーションアップにもつながる」
出典:株式会社ヨシズミプレス WEBサイト
出典:株式会社ヨシズミプレス カタログ LINE HOOK / DOT HOOK / MINI CLIP