自動車の電動化などによって部品メーカーは大きな変化に迫られている。車載用のプラスチック部品もその一つ。コネクタの狭ピッチ化、耐熱性の高い樹脂の採用などによって、金型や成形技術は高度化している。コネクタをはじめとする車載用部品の金型から成形、組立まで手掛けるファインプラスは、金属3Dプリンタの活用や、成形ラインの自動化などで、高度化するニーズに対応し、受注を伸ばし続けている。
創業は1967年。樹脂部品加工メーカーとしてスタートした。当時は自動車以外にも家電や生活雑貨など幅広く手掛けていたが、80年代後半に自動車向けに特化する決断を下す。
理由はユーザーの海外展開だ。
前職で電子部品メーカーに勤めていた三宮悟治郎会長は自身の経験から「家電は海外移転を急速に進めており、いずれ厳しくなる。国内でも成長している自動車にシフトする」と判断し、「経営資源をすべて自動車向けの電装部品に集中させた」(三宮会長)。特に、意識したのは「品質の安定化」だ。自動車では他分野より安定した品質が求められるからだ。
90年代初頭には当時開発されたばかりのソディックの成形機を導入し、「肉厚が0.3mmのポリフェニンサルファイド(PPS)部品の量産を成功させた」ことで電装メーカーに認められ、自動車強化の大きな契機になったという。
もう一つ意識したのは「金型から成形、組立までをトータルでカバーできる内製化」だ。
前職時代から、三宮会長は「競争力を維持するには内製化が不可欠」と考えており、金型設計から製造、成形、組立までできる体制を強化した。