開発拠点訪問ソディックアメリカ

豊永竜生センター長 豊永竜生センター長 インタビュー Interview ハードウエアのエンジニアとして、
リニアモータ搭載のマシンとともに歩み、
ソディックの先端技術を生みだす。
インタビュアー 島村美樹:株式会社カリブー

<プロフィール>
ジャパックスにて形彫り放電加工機の電源の開発を行い、1992年、ソディックに移籍。研究開発本部へ配属され、ワイヤ放電加工機の無電解回路や仕上げ回路の商品化を行った。1999年頃リニアモータに適した自社製モーションコントローラの開発プロジェクトに参加。2000年のソディックアメリカ設立とともに渡米。11年の駐在を経て、2011年に日本へ帰国し、再び研究開発本部へ配属される。また、2012年に新設されたアドバンスト研究センターのセンター長にも就任。

ハードウエアのエンジニアとして、
リニアモータ搭載のマシンに黎明期からたずさわる。

今ではソディックのほとんどの製品に採用されているリニアモータ。豊永さんは、実験段階からこの計画にたずさわり、実験室で劇的な瞬間を目にしたそうですね。

リニアモータ搭載の放電加工機は、1998年にリリースしていますが、その1年ほど前、試作リニアモータを搭載した放電加工機の実験のために、一人で実験室に入ったときのことです。実験の環境を整え、初めて加工テストを行った時のことは今でも忘れません。マシンを動かすと、今までの常識を覆すほどの加工速度が出たのです。2~3倍ぐらいの速さでしょうか。あまりの速度で、「これはありえない!」というほどでした。ちょうど実験を見に来た同僚も、「これは絶対何か間違っている!」と。けれど、一緒に何度確認しても、リニアモータの動力は本物だったのです。今までも加工性能を上げるための開発はいくつも行ってきましたが、あれほど劇的に性能が向上した経験はありませんでした。普通は5%~10%の性能を上げることでも難しいのです。

研究にはどのぐらいの時間がかかったのですか?

2年かかりました。最初は、形彫り放電加工機ではなく、他のマシンにリニアモータをつけていましたが、あまり性能がでませんでした。それで、「じゃ、今度は放電加工機にしよう」となり、ちょうど関連会社でリニアモータを自作したということで、それを利用したときのことでした。

そして、製品化に成功されました。そのときは、みなさんでお祝いされたとか。

製品化に向けた、量産試作の1号機が本社の技研センターに入ってきて、発案者である古川会長をはじめ数名が見守る中、ちゃんと動いているか確認したのです。そして、無事にこの第1号機が動くことがわかると、会長が「お酒を持ってきて」と。それで、その場にいたメンバーと実験室の中で祝杯をあげました。時間は、昼の2時か3時。開発したものが“製品”になった瞬間でしたね。

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