モーションコントローラと組み合わせるにあたり、
NC装置を改めて開発したのですね。
豊永センター長(後インタビュー)とは、ソディックアメリカ立ち上げ時からの仲間
NC装置については、ソディックでは10年20年と、ずっと自社で蓄積してきた技術をもとに製造していました。ソフトも膨大な量だったのですが、今後のためにも、全てを一度見直していく必要があると考えたんです。最新のNC装置「M4LINK」は長年蓄積されたソフトウエア資産を参考にしながら、「わからないところは全て明確にする!」とソディックアメリカで一から見直し、開発したものです。これで、いつ新しい開発者が来ても全て説明できるようになりました。
「M4LINK」の魅力は?
カスタマイズが容易にできることです。たとえば、マシンの中の加工部分であるX軸やY軸などの動きをカスタマイズしたい場合、これまでの製品では、私たちが毎回対応しなくてはなりませんでした。けれど、この「M4LINK」であれば、その必要がなくなったのです。 私たちは、「M4LINK」というソフトウエアの土台をつくりました。そして、日本の開発部では、その上で動作するプログラムをつくりました。カスタマイズは、この上の部分で動くプログラムを操作すれば可能となりました。これにより、使いやすさ、機械全体の開発上の効率も上がったと思います。
ソフトが製品に組み込まれるまで、どのぐらいの時間がかかるものなのですか。
たとえば、「M4LINK」は最初にマシニングセンタに組み込まれています。このときは、日本の開発部とやり取りしながら、およそ1年で実際に組み込みました。ワイヤ放電加工機の場合は、3年前に日本で開催された展示会(JIMTOF)に出品していますが、更なる高速化、高効率化、多機能化などを進めています。
「M4LINK」を搭載したマシンには、操作画面をタブレット化したモデルもありますね。現状でも十分な性能であるところ、新しいチャレンジをしたのはなぜですか?
ソフトウェアマネージャーのマークとタブレットモデルの動作確認中
たしかに、私たち工作機械業界では、機械の見た目がどうこうより、まず機械が正確に動き、バグなどで動きが止まってしまうことがないことが最重要事項なので、つくり手も使い手も「そのままでいい」と保守的になりがちです。その一方、ソフトもハードも各業界でどんどん技術が向上しています。そんな中、現状維持ではダメだと思うんです。少なくとも今後10年は生き残っていけるマシンをつくっていこうということで、「M4LINK」の方でも、新しいものをつくろうとやってきました。
お客様にとって、タブレット化のメリットは具体的に何がありますか?
タブレット化したモデルでは、従来の“クラシック・モード”と“タブレット・モード”で画面の切り替えができます。タブレット・モードの方は、直感的に操作できるようつくったので、マニュアルを見ないでも動かせることを目指してつくりました。また、これまでマシンに取り付けられていたキーボードそのものがなくなったので、組み立てとコストの面でもメリットがあります。
ちなみに、画面に表示されるユーザーインターフェースもソディックアメリカで開発しています。(詳しくはマーク・ピカソ(ソフトウェアMG)インタビューへ)
やりがいはどんなときに感じますか?
やはりつくったものが「使いやすい!」「いい製品だね」などといい評判を聞けたときです。私たち開発者は、日ごろ社内の決まった部門としかやり取りできません。そんな中、たまに営業担当などを通して、お客様の声を聞けるととても嬉しいですね。開発者って、そんなことでやる気がとても出るものなんですよ(笑)。
開発したものが、実際に使われているんだな、と実感するのはどんなときですか?
実際、このオフィスの中で開発に取り組んでいるだけでは、なかなか実感しにくいです。特にアメリカ人スタッフにとって、ソディックでは全世界で3000人以上が働き、それぞれ家族がいて、自分たちの技術も大勢の生活を支えている、ということはわかりにくい。だからこそ、実感してもらうことは大切で、アメリカで開催される展示会「IMTS」や日本での「JIMTOF」、そして、タイ工場など可能な限り一緒に足を運んでもらっています。ソフトウエアの「Sm-ART」を開発したマークも2度日本に行っていますよ。