ソディックの歴史第3回 技術革新期・充実期

マシニングセンタ(MC)事業への参入

タイ工場
自社製CFRPを採用した
超高速マシニングセンタ「TT1-400A」

ソディックの切削系加工機の歴史は、電極回転+割り出し機能付きNC電極加工機A3CRをスタートとすれば1980年代にまでさかのぼります。1988年にはNCグラファイト加工機GTシリーズを開発しました。
しかし、本格的なマシニングセンタ(MC)としては1997年に発表されたセラミックススピンドル仕様の450MC、600MC、800MCが発端となります。放電加工機の構成部品として使うために独自に開発していた熱変位に強いセラミックスを主軸スピンドルに適用して、金型加工にも部品加工にも使えるユニークな加工機でした。
そうした実績と1998年に開発したリニアモータ技術を融合したのが、2001年に発表されたMC180Lです。このマシニングセンタはハイスピードミーリングセンタHSシリーズの基礎となりました。
ソディックではリニアモータ駆動の小型立形マシニングセンタの総称について、リニアモータを駆使した他社にはない高速加工機であることをアピールするため、あえて「ハイスピードミーリングセンタ」の名称を掲げ、2007年にX軸ストロークが420mmの「HS430L」と同620mmの「HS650L」を誕生させました。
切削系加工機は、既に四半世紀の伝統を積み重ねており、お客様から高い評価を頂いております。

また、ハイスピードミーリングセンタによる「浅切り込み・高送り加工」は、熱影響を軽減し、工具磨耗を抑える次世代加工法として注目を集めました。ボールねじとは違う直線運動であるリニアモータの特徴を生かした象限突起レスが加工面を滑らかにして、磨きレス加工も可能としました。更に金型加工では、従来機では不可能であった微細な部分まで直接金切削加工で仕上げてしまう直彫り加工が可能となり金型製作時間の大幅短縮を実現しました。

現在では、より高精度・高速加工を追及し、自社開発した次世代素材CFRP(カーボン繊維強化プラスチック)を採用し軽量化・極薄化したXYテーブルにより、高加速度加工を可能にするなど、製品開発を続けています。

リニアモータの開発

自社開発製造のリニアモータ
自社開発製造のリニアモータ

工作機械の送り機構には、ボールねじ駆動方式を採用するのが現在でも一般的ですが、「バックラッシが無く、速く、精度良く、思いどおりにモノが作れる機械がほしい」というお客様の要望から、世界に先駆け、移動速度と位置決め精度に優れたリニアモータを搭載する放電加工機の開発に着手しました。
“何メートルをいかに速く移動させるか?"よりも、“1マイクロメートルをいかに速く動かすか?"ということにこだわり、ようやく3年の開発期間を経て、世界初の「全軸リニアモータ駆動による型彫放電加工機」の商品化に成功しました。

1998(平成10)年11月、世界初のリニアモータ搭載高速NC形彫り放電加工機「AMシリーズ」を発売。様々な技術的課題を克服し、ピンポイント冷却方式による自社開発製造のリニアモータユニット、安定した放電加工の特性に必要不可欠な自社開発製造のセラミックスによる主軸構造など、数々の基盤技術の開発に成功することで、「最小駆動単位0.1μm」、「最大加速度1.2G」、「最高速度36m/min」という形彫り放電加工機において圧倒的な性能を実現しました。
従来のボールねじ駆動に対し、24倍(当社比)もの高加速なジャンプスピードで動くリニアモータ駆動の放電加工機の性能は、それまでの常識を覆すほどの強烈な印象を与え、出展する展示会場では、常に多くの来場者の注目の的となりました。

高速・高精度の両立を可能とし、従来は不可能であった領域の加工性能を実現した、ソディックのリニアモータ搭載形彫り放電加工機は、瞬く間に社会的にも広く認知され、2000(平成12)年1月に発表した「AQシリーズ」は数々の賞を受賞し、高い評価を得ました。
現在も、この自社開発によるリニアモータの要素技術を、すべての放電加工機やマシニングセンタなどの主力製品に採用し、日々、更なる性能の向上に努めています。

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