ソディックの歴史第3回 技術革新期・充実期

射出成形機分野への進出

独自開発した「V-ライン」可塑化・射出方式
独自開発した「V-ライン」可塑化・射出方式

超ハイサイクル、超小型、超安定射出成形機「HC03VRE」
超ハイサイクル、超小型、超安定射出成形機
「HC03VRE」

海外への展開が続く中、製品面でも新たな挑戦を行なっていました。
1989(平成元)年10月、ソディックは射出成形機分野への進出を発表します。
それは、お客様から「せっかくソディックの放電加工機で精密な金型を作っても、従来の射出成形機では突然成形不良が発生して生産が安定しない」と相談を受けたことから始まりました。

それまでの射出成形機を調査してみると、プラスチック材料を安定して溶かし、必要な樹脂量を正確に計量し金型へ射出するという工程に改善が必要な事が分かりました。
一般的な射出成形機はインライン方式と呼ばれ、これらの工程がとても微妙なバランスの上に成り立っていて不安定な機械であることがわかってきたのです。

そこでソディックはこの成形の不安定な要因を排除するために、材料を溶かすところと、金型に樹脂を流し込むところを分離した新しい構造を採用することに決めました。
同年11月に加賀事業所内に射出成形機工場を建設。
ここで後に「V-ライン方式(※)」と称される安定した可塑化・射出が出来る方式を開発することになったのです。
(※) V-ライン(V-LINE)は ㈱ソディックの登録商標です。

その後1992(平成4)年7月、射出成形機部門を「ソディックプラステック」として分社化しました。
この新しい構造の射出成形機の開発には5年を費やし、また最初は認知度も低かったため販売には苦労しました。
しかし、お客様が部品の複合化や軽量化などの新しいものを開発するときに、「ソディックの射出成形機を使ったら設計通りの製品が出来た」との評判をいただくようになり、徐々に販売を増やしていきました。
放電加工機作りで培ってきた技術を他分野の機械に応用することを考え始めていたソディックにとって、この新しい射出成形機を開発するということは、さらに成長するチャンスとなりました。

このように、お客様からの信頼を積み重ね、2001(平成13)年8月に「ソディックプラステック」は、子会社初の株式上場を果たし、射出成形機市場で大手に食いこみシェアを伸ばすまでに成功を収めました。
(その後、2012年ソディックグループの競争力維持・強化のためソディックに吸収合併)
現在、射出成形機はソディック売上の約2割を占め、主要な製品のひとつとなっています。

ソディック創業者 古川利彦会長インタビュー セラミックス編

海外への展開とともに、技術的にも大きな革新期を迎えられました。
まず、1989(平成元)年に射出成形機分野へ進出されました。どのようないきさつで進出されたのでしょうか。
古川当時のお客さんから相談が来たことをきっかけにスタートしました。今もずっと成形機の担当している者が、当時から非常に優秀だったのですが、お客さんからこんな相談が来ていると話したら、「それいいかもしれません、やりましょう!」っていうわけですよ。それで射出成形機の開発が始まりました。
現在では御社の売上の約2割を占める重要な分野ですね。
射出成形機 古川 時の技術者が、コンピュータ技術を入れたり、技術や機械を見直していくと、いいものが出来てきました。
あくまでも信念を曲げずに、うちの製品は、材料を溶かすのはスクリューで、そしてその溶けた樹脂を金型へ入れるのはプランジャで一定量を射出するという、他社とはちがう方式で製品を作りました。
25年ぐらい前に、こういうやり方でやろうと決めて、いまだにその方法は変わっていません。
技術的に困難な壁にぶつかると、「これはだめだ」と言って普通はあきらめるけれど、あきらめず続けていくことで、毎年毎年新しいものを作っているわけです。

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