開発・生産拠点ソディック「中国・蘇州工場」

「自分で考える人」を創るQVP活動


総経理 西村清治

蘇州工場の中国人スタッフには長年にわたって働いている人が多い。
勤続年数20年以上のベテランは約50人で、全体の1/4になる。

人が根付く理由を「日系企業の人気が高いこともあるが、それだけではない。
蘇州の人は真面目で義理堅く、『蘇州工場の設立時に地元の中国人を雇用した』ということに今も恩義を感じている人は多い」と感じている。
「当社の仕事やアイデンティテにも強い愛着心を持って働いてくれている」


董事兼、資材部部長 梁峰

董事兼、資材部部長を務める梁峰は、日本人スタッフを「仕事に対する意欲が高い。また、いつも効率の良さを考えて働いている」と評価する。こうした仕事への取り組み方は、長年日本人と働く間に中国人スタッフへもうまく“浸透”していったという。梁峰は蘇州工場の現場の様子を「調和が取れた楽しい雰囲気で、皆がやる気を持っている」と表し、士気の高さがうかがえる。

日本独特の仕事への意識を中国人スタッフに伝える上で大きな役割を果たしてきたのが、海外拠点を含め全社で展開している「QVP(Quality Victory Plan Plus)活動」という方針管理であり、ソディック全社方針と各拠点の整合性をすり合わせしている。このソディック独自の取組みであるQVP活動では、社員1人ひとりが品質の基盤となる「業務の質」の向上に取り組むことを目標とし、作業時間の短縮やクレーム問題の解決、コスト見直し、ムダ工程の解消などの具体的施策を社員自らが考えて実践する。

「自分で考える」というのがポイントで、これによりソディックグループ社員全体のレベルの底上げを実現している。QVP活動の成果は、毎年開催される「QVPグローバル発表会」を通じて各部門・各グループ会社で共有し、ソディックが可能とした「世界同一品質」の継続につなげていく。

梁峰氏

業務の質がQVP活動で大幅に向上「作業工程や外注の納期管理などの効率が上がり、欠品も減った。以前まで中国人スタッフは仕事を他人事と考えがちだったが、今は自分で考えて動き、良質な仕事ができるようになっている」(梁峰)。

梁峰氏

出荷を待つ中国向け形彫り放電加工機「AD32Ls」

今後の蘇州工場を考える上で、梁峰は「よりグレードの高い放電加工機のほか、射出成形機の生産も行ってみたい」と強い意欲を見せる。掲げる志も高い。「精度が高い、性能に優れるなど評価されるジャンルはどれでも良いので、“中国で一番”と評される製品を作っていきたい」(梁峰)。

各部門インタビュー

黄军 調整部 部長代理 [製造部門]


黄军 調整部 部長代理

みんなの気持ちはひとつだから、いい製品がつくれていると思います。

製造現場のすべてを統括。
機械加工部門や調整部門、品質部門まですべての業務を知り尽くし、各担当者の得意分野も熟知しているから、人事調整もスムーズにできる。様々な事情で、生産計画は想定外に変更になる場合がある。そんなとき、部門間の人員調整を黄部長の判断で臨機応変におこなっている。

工程内の不具合や、連携がうまくいっていない箇所を指摘し、問題提起と解決策を考えるクリエイティブな製造部長だ。

沈青 加工部 部長代理 [機械加工部門]


沈青 加工部 部長代理

加工の話を西村総経理とすると、行程や手順、いろいろなイメージが沸きます。蘇州はまだまだ進化します。

機械構造の鋳物加工や板金の加工などを担当。
サプライヤーから納品される部品には、品質にバラツキがあることがある。これらの問題は、すぐに連絡しコミニュケーションを取るようにしています。ほとんどのサプライヤーも長い付き合いのある取引先でソディックのことをよく知っている。それでも、同じ品物を作り続けるなかで、例えば半年経過すれば、なにか違う問題がおきることがあり、モノづくりを長期にわたって安定して行う事の難しさを日々感じている。

問題解決に役立っているのがQVP活動です。工具や治具の改善は日常的に実施しています。機械の鋳物を仕上げる5面加工マシニングセンタでは、通常2点で加工物を抑えているが、どういうわけか振動がおきる事があった。部門内で知恵を出しあい、最終的にはサポート治具を取り入れることで解決できた。

プログラムの提案が現場からでることもしばしばあります。毎日同じ作業をコンスタントにこなすオペレータから、より効率の良いプログラム手順の考えがありました。これらの事例をQVP発表会でプレゼンテーションするなど、蘇州工場の機械加工部門は日々活発にそして進化しています。

周斌 品質保証部 品質管理課 課長代理 [品質管理部門]


周斌 品質保証部
品質管理課 課長代理

品質管理こそソディックの社是、創造!その心意気で取り組んでいます。

この部門は「良い製品をつくる」という意識をみんなが常にもっています。
「少しのキズもゆるさない。」その想いで、生産中に全生産機械をライトを持って確認してい回る部隊をつくって、高品質を目に見えるカタチにしています。

ソディックは、中国以外の日本やタイにも工場があります。他の工場がどのように品質維持に取り組んでいるか、研修にいきました。そこでは、チェックリストを電子化する取り組みや、ハーネスチェックに専用治具を利用するなど、蘇州工場では無い方法を発見できました。
これらの方法を取り込んで、蘇州工場製品の信頼をゆるぎないものにしたいと考えています。

蘇州工場の社員旅行

中国では、春節に忘年会や新年会の行事があります。蘇州工場では、全社員そろって中華式の円卓を多い時には50卓以上貸し切って、盛大に飲んで食べて楽しみます。



そのほかにも、毎年社員旅行をおこなっています。



青島や桂林、マカオなどスタッフのリクエストをまとめみんなで話し合って決めています。



みんな家族同然の仲間たちです。このような取り組みが、協調性を生んで、仕事においてもものづくりの円滑な流れをつくっているのかもしれません。



これからの蘇州工場

自動化需要

人件費が上昇している中国では、IoTだけでなく自動化も需要のトレンドとなっており、数ミクロン単位の狙い精度を求めるお客様の加工現場で、自動化が話題になってきています。(総経理 西村)

このようなニーズに対し、ソディック製リニアモータ駆動放電加工機は優れた位置決め性能を誇ることから、自動化システムとの親和性が良く、高精度を目標としたシステム事例が多数あります。
お客様の目的に合致したシステムアップサービスをご提案し、生産性の向上を実現します。

環境規制への対応

中国は環境保護を国策に掲げ、2014年の環境保護法改定を境に規制を強化している。
蘇州市でも数年前から規制が厳しくなり、「塗装などのにおいが敷地外へ漂うことがないか、設備の確認を、環境保護局の担当者が定期的に実施する」(董事 梁峰)。
蘇州工場では活性炭フィルタの活用やスタッフへの指導の徹底でしっかりと臭気・粉塵対策を行っている。
近隣でマンションや学校の建設・設立が続く好立地に様変わりしたという背景もあり、生産性や品質のテーマに加えSDGs(持続可能な開発目標)への取り組みもますます重要味を帯びる。



まとめ

蘇州工場は、いち早く中国へ進出し、長年にわたって中国企業と連携を深めてきた。
また、中国企業とのやり取りの中で蓄積してきた大量のノウハウもある。こうした先鞭の強みを存分に活かし、今後もトップシェアの維持に努める考えだ。

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