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こんにちは、SurVibes(さぁ!バイブス)編集部です!
突然ですが、ワイヤ放電加工機のメンテナンスは定期的に行えておりますでしょうか?
精密な加工を行うワイヤ放電加工機は、製造プロセスにおいて重要な役割を担う機械ですので、突然不調を起こしてしまうと大事になりかねませんよね。
ただ実際のところ、メンテナンス不足がどういったトラブルにつながるのか、具体的なイメージが湧かないという方も多いのではと思います。
そこでこの記事では、ワイヤ放電加工機の経年劣化により起こりえるトラブルとその要因、そして対策をご紹介いたします。ぜひ最後までご覧ください!
目次
ワイヤ断線
ワイヤ放電加工機はNC工作機械の中でも、電気加工機であるが故の絶縁性の維持や、走行するワイヤ線の位置や張力の安定維持などの面から、日々のメンテナンスが重要な設備であると言えます。
もしメンテナンスが十分でない場合には様々なトラブルが発生する可能性があり、その中でも特に発生頻度の高い不良がワイヤ断線です。
深刻な場合には製作中の金型が納期遅れや精度不良となってしまうケースもあり、ワイヤ断線を予防するための定期メンテナンスは特に重要とされています。
断線の要因
一口に断線と言っても様々なケース・要因がありますが、例としてメンテナンス不足によって発生しうる断線要因を一部ご紹介します。
消耗部品
- ワイヤガイドにスラッジが堆積・付着し目詰まりしている
- 通電コマ(給電子)が消耗している


- ワイヤ走行系ローラが経年劣化し、スリップによるテンション変動が発生している
- 極間線が劣化し、正常にワイヤ線や材料に電気を供給できなくなり、加工物上面に真鍮が溶着することで加工溝が埋まってしまう

噴流ポンプ
- 噴流配管経路部品の経年劣化によりエアーが混入している
- 配管詰まりにより噴流圧や流量が低下している
- 噴流ポンプ吸い込み口や噴流経路のつまりにより噴流圧が低下している

加工液
- 加工液量が定量以下に減ってしまっていて、十分な量の噴流が出ていない
(加工液は蒸発していきます)
ガイド部
- 上下ノズルの損傷、またはガイド部を干渉させたため、ガイド部自体が傾いて噴流の真直性が悪くなっている
断線の予防策
予防策として以下があげられます。
- 各種消耗部品の定期的な清掃・交換(製品ごとに交換目安時期があります)
- 噴流ポンプの清掃
- 加工液量の確認と定期的な充填
- サービスタンクの水の量・水質の管理
- 定期的なガイド部(特に下ガイド部)の平面度確認
加工槽からの液漏れ
機械のメンテナンス不足により、大きなトラブルにつながる例として、加工槽後部やスライドパイプなどからの加工液漏れもあげられます。
加工槽から加工液が漏れてしまうと、正常に加工が行えないだけでなく、工場中が水浸しになり、他の設備にまでトラブルが波及してしまうため、深刻化する前に対応が必要です。
加工槽からの液漏れの要因
原因はシールパッキンの乾燥や経年劣化などが考えられます。
この部分の交換調整は機械精度にも関わるため、お客様自身での交換は難しい作業となります。

加工槽からの液漏れの予防策
予防策として以下の対応を取るとよいでしょう。
- 加工槽内のシールパッキンを乾燥させないよう、待機時にも加工槽に加工液を貯めておく(※)
- 長期間加工槽に通水できない場合は、シール部に薄く油(潤滑油スプレー)を塗布する
- 液漏れの多くは突然気が付くことが大半であるため、定期的にシール交換を行うようにする
シールに付着したスラッジが乾燥すると摩擦が大きくなりシール寿命は短くなります。
精度不良
精密な加工を行うワイヤ放電加工にとって最も悩ましいのが加工の精度不良です。
加工面にスジが発生する、表面粗さが粗くなる、寸法が狙い通りにならないといった不具合には、メンテナンス不足が原因となってしまっている場合もあります。
精度不良の要因
具体的な要因として以下のような例があります。
- 加工液フィルターの寿命を超えた状態で使用したため、不純物が取り除かれず加工面の異常や腐食(錆)が発生した
- 堆積したスラッジが硬化して軸の負荷が増え、バックラッシュ(位置決めの遅れ)による精度不良や過負荷保護エラーが発生した


スラッジ
金属粉・サビ等の沈殿物の総称
精度不良の予防策
予防策として以下が考えられます。
- 加工槽内のスラッジをこまめに取り除く
- 加工液を常に不純物のない状態に保つため、加工液フィルターの定期的な交換を行う
- 水加工液用のイオン交換樹脂の定期的な交換を行う(比抵抗が低い状態で使用しない)
番外編【油性加工液の場合】
加工液に油を用いる放電加工機には、自動消火装置が搭載されています。

加工槽内の熱センサーが指定された以上の高い温度を感知すると、自動消火装置が作動し、加工槽内の加工液表面に消火薬剤が放射され、自動消火を行うという大切な役割のある装置です。
ソディックでは装置メーカーから指示された耐用年数を考慮し、以下の対応を推奨しています。
- 1 年に1 回 消火装置の点検
- 5 年に1 回 消火薬剤の交換
- 10 年に1 回 消火装置本体の交換
まとめ
ワイヤ放電加工機は微細なワイヤ線を使い、要求される精度も高い加工を行いますので、定期的なメンテナンスが重要な設備であり、メンテナンスを怠ってしまうと、機械だけでなく周辺設備にも影響を与えてしまいかねません。
しかし逆に言えば、適切なメンテナンスを定期的に行うことで、長期間精度や加工スピードを維持することができ、結果的に生産性を高めることにつながります。
でも正直なところ、日々のこまめなメンテナンスなんて、とても自分たちだけで時間をかけてやっていられないというお客様方も多いのではないでしょうか?
そこでソディック製のワイヤ放電加工機をご利用のお客様に朗報です!
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