成形現場の材料粘度測定をお手軽に!溶融粘度測定装置『Nendy-E』の仕組みと使用方法を解説

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産業機械
公開日2025.01.08 更新日2025.02.04
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こんにちは、SurVibes(さぁ!バイブス)編集部です!

今回は、ソディックが開発した溶融粘度測定装置『Nendy-E』についてご紹介します。

SDGs推進が求められる昨今、環境にやさしい再生プラスチックの用途拡大に伴い、樹脂材料の溶融粘度管理も重要視されるようになってきました。
今回の記事では、Nendy-Eの特徴や従来技術との比較についても解説しておりますので、ぜひ最後までご覧ください。

目次

射出成形における溶融粘度管理の重要性

樹脂材料を溶融し、金型内に充填することで、同形状・同品質の製品を大量生産できる射出成形は、さまざまな業界の製品製造現場で広く利用されています。

しかしながら、射出成形に用いる樹脂材料の品質には、どうしてもばらつきが生じるもので、含有する水分量や配合比の微妙な違いにより、最終的な成形品の品質や、最適な成形条件に影響が出てしまう場合もあります。
その樹脂材料の特性を評価する1つの指標として、溶融粘度があります。

溶融粘度

熱可塑性樹脂が溶融した状態における粘度
溶融粘度は樹脂材料の流れやすさ (サラサラかネバネバか) を示す値で、この違いにより成形状態が大きく左右されます。

樹脂材料の溶融粘度を測定・管理することは、最終的な成形品の品質安定化につながると期待されています。

また直近では、経産省が「循環経済」の強化のもと、リサイクル材の利用拡大を求めており、多くの企業が再生プラスチックの活用に取り組んでいます。
しかしながら、リサイクル材は熱履歴により、多少なりとも劣化してしまうため、リサイクル材の配合比や再利用の上限回数を検討する必要があります。
その際に、樹脂の劣化状態を評価するための指標が求められており、その1つとして活用される溶融粘度測定の重要性が高まっています。

その他にも、樹脂材料の溶融粘度測定は、予備乾燥時の材料乾燥状態(許容水分含有率)の評価や、新規材料導入時の成形条件の参考データ取得などにも活用されます。

溶融粘度測定装置『Nendy-E』

従来、樹脂材料の溶融粘度測定には、キャピラリーレオメータと呼ばれる専用の装置を用いることが一般的でしたが、高価であるために導入を躊躇われる成形現場も多くありました。

そこでソディックは、この専用装置の構造が射出成形機(特にソディック機のV-LINE®仕様)の構造に類似していることに着目し、ソディックの射出成形機にアタッチメントを取り付けることで、溶融粘度測定器として使用できないかと考えました。
そうして誕生したのが、溶融粘度測定装置『Nendy-E(ネンディ)』です。

Nendy-Eは、専用のシリンダをノズルの代わりにソディックの射出成形機に取り付けることで、樹脂材料の溶融粘度を測定できるようになるというシステムです。

Nendy-E取り付け方法

Nendy-Eのメリット

ここからは、Nendy-Eのメリットをご紹介します。

価格

従来の専用測定装置は、高価であることを理由に採用が見送られる事例もしばしばありましたが、Nendy-Eは射出成形機に取り付けるアタッチメント方式としたことでコストダウンを実現し、ソディックの成形機をお使いの方であれば従来の専用測定装置と比べておよそ1/4ほどのコストで導入いただけます。

取扱性

従来の専用測定装置とは異なり、Nendy-Eは射出成形機に取り付けて測定機器として使用いただけることから、測定の度に樹脂材料の充填を手動で行う手間が必要ありません。
通常の射出成形プロセスと同じように、樹脂材料は自動で計量・充填され、スムーズに測定を行えます。

測定可能な速度領域

ソディックのV-LINE®射出成形機(※)は、射出時の樹脂材料の逆流がないため、超低速から高速まで正確に速度制御することができます。
したがって、Nendy-Eによる溶融粘度測定も、従来の専用測定装置では測定が難しい、低せん断速度領域から高せん断速度領域まで、幅広い速度領域での測定が可能です。

V-LINE®はソディックが開発した射出成形機の独自機構であり、詳しくは以下の記事で解説しています。

Nendy-Eの使い方

ここからは、実際にNendy-Eを使用する際の流れをご紹介します。

まずは、成形機画面で溶融粘度測定を行うためのアプリケーションを立ち上げます。
その後、射出成形機のノズルを取り外し、専用のアタッチメントを取り付け、温度、速度、ダイ径など必要な設定をアプリケーション上で行います。

Nendy-Eの操作画面
Nendy-Eの操作画面

速度設定を手入力することもできますが、推奨値を自動入力できる『かんたん設定』機能を活用いただく事で、材料測定の専門知識がない方でも、簡単かつスムーズに測定作業へお進みいただけます。

その後、スクリュを回転させ、材料を可塑化し、計量・待機の後に射出・測定が実施されます。
成形時と同じ条件で測定が行われるため、実際の成形プロセスに近い粘度データを得ることができる点もNendy-Eの特長です。

測定結果を元に、操作画面に『せん断速度―せん断粘度』のグラフが描画されます。
グラフ画像は PNG 形式、数値データはCSV 形式で、USB メモリに保存することが可能です。

Nendy-Eグラフ描画画面
グラフ描画画面

受賞のご案内

Nendy-Eの技術が評価され、『2024年 “超”モノづくり部品大賞 機械・ロボット部品賞(※)』を受賞いたしました。
これからもソディックは、『世の中にないものは自分たちで作る』という開発理念に基づき、常に挑戦を続け、”豊かな未来創り”と世界の”ものづくり”の発展に貢献してまいります。

主催者「日刊工業新聞社」

授賞式画像
授賞式画像

ウェビナーのご案内

今回ご紹介したNendy-Eについて、開発者による詳しい解説が行われたオンラインセミナーのアーカイブ動画をご視聴いただけます。
より詳細な情報や、活用事例にご興味がございましたら、ぜひ以下の画像をクリックしてご視聴ください。

まとめ

今回は、ソディックが開発した溶融粘度測定装置『Nendy-E』についてご紹介いたしました。
これまでは費用の問題で導入が見送られる場合もあった成形現場の材料溶融粘度測定を、従来手法の1/4ほどのコストで実現したNendy-Eは、コスト以外にもさまざまなメリットを有しています。

Nendy-Eの導入にご興味がございましたら、ぜひお気軽に、以下のリンクからお問い合わせください。

監修者
SurVibes編集部

SurVibes編集部

オウンドメディアの記事制作を担当しております。それぞれ違うバックグラウンドを持った20、30代メンバーを中心に制作。新しいことにチャレンジしながら、多くの先輩、関係者の皆様に支えてもらい毎日が勉強です!「つくる」にフォーカスした企画をいつも探しています。

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