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こんにちは、SurVibes(さぁバイブス)編集部です!
今回は、ソディックが開発した射出成形条件設定サポート機能『成形ナビ』をご紹介します。
成形ナビは『①新規成形立ち上げ時の初回ショット条件設定』、『②初回ショット後の充填量調整・成形不良改善』、『③量産稼働開始後の安定稼働条件の調整』と、上流から下流まですべての工程で成形条件の設定・調整をサポートし、熟練工の減少や作業者の育成コストといった、射出成形現場の課題を改善します。
射出成形に関わる方にとって、関心のある内容となっておりますので、ぜひ最後までご覧ください。
射出成形は、ヒータ温度設定や射出設定、型開閉設定など、成形に必要な多くのパラメータを持つため、その条件設定は熟練オペレータの経験に頼りがちになってしまうという現場の実情があります。
その一方で、少子高齢化に伴う熟練オペレータの減少が問題視されており、製造現場における大きな課題となっています。
そこで、「熟練オペレータの思考をプログラム化し、初心者に寄り添うようなソリューションを創りたい」という思想の元、ソディックが開発したのが成形ナビです。
成形ナビは射出成形条件設定をサポートするアプリケーションで、成形機の画面から入力・操作することができます。
本来は複雑な射出成形条件の設定を、成形初心者でも迷うことなく実行できる、シンプルで分かりやすいユーザーインターフェースが特長で、作業の効率化や、作業者の育成コスト削減に寄与します。
成形ナビの具体的な説明に入る前に、成形条件設定の大まかな流れについて解説します。
射出成形の新規立ち上げ時のプロセスは大きく分けて『①初回ショットの条件設定』、『②量産スタート時の良品条件確立』、『③量産開始後の安定稼働条件調整』の3つに分類されます。
成形機を立ち上げる際には、最初に、半自動成形をスタートさせるための初期設定を行います。
このフェーズでは、金型や成形品の情報を元に、型開閉設定・温度設定・色替操作・射出設定などの初期設定を行い、8割程度の充填量で初回のショートショット品を成形します。
※金型保護の観点から、いきなり100%の満充填にはしないのが一般的です。
初回ショットで設定したショートショット条件から、徐々に充填量を増やしていき、良品条件を確立します。
このフェーズで、保圧をはじめとした各種条件を調整していき、ヒケやフローマークといった成形不良を改善します。
量産開始後には、成形品の品質を確認し、外部環境の変化による状態の変化に応じて、成形条件の調整を行っていきます。
成形ナビには『Class0』、『Class1』、『ClassAI』という3つのタイプがあり、それぞれのフェーズにおいて、異なるアプローチで射出成形の条件設定をサポートします。
成形ナビClass0:初期条件作成サポートは、ソディック製射出成形機に標準搭載されている機能で、新規成形立ち上げ時の初回ショット成形条件の作成をサポートします。
成形ナビを立ち上げ後、ガイダンスにしたがって必要事項を選択・入力していくことで、金型開閉設定・金型保護設定・色替操作・射出条件設定が完了し、初回成形の準備が整います。
金型破損を防止するための金型保護設定値を自動算出したり、製品の体積or重量、最大・最小肉厚を入力することで、8割充填程度のショートショット条件を自動算出したりといった、初心者にやさしいサポート機能が充実しており、経験の浅い作業者や、ソディック機の使用が初めての方でもスムーズに操作できる仕様になっています。
オプション機能である成形ナビClass1:条件補正ガイダンスは、初回ショットから量産をスタートするまでの条件確立(※)をサポートします。
初回の8割充填条件から満充填までの充填量調整、保圧の設定、成形不良に対する条件補正など
この条件補正ガイダンスは、数値などを直接入力することなく、成形品の状態を確認して、「ショートショットである」、「バリが出る」、「問題なし」といった、対話形式のやり取りで成形条件確立へ導く、初心者にやさしいユーザーインターフェースを最大の特長としています。
満充填後に、バリ・ヒケ・ヤケといった成形不良が発生する場合が多いのですが、条件補正ガイダンスは、発生した成形不良を操作画面から選択すると、それぞれの不良に合わせた条件補正をガイドしてくれます。
1つの成形不良に対しても、複数の要因があり、それぞれの要因に対しても、複数の対策が考えられるため、本来成形不良改善は複雑な作業なのですが、条件補正ガイダンスは各対策の試行順序を提案し、「改善した」、「改善しなかった」という対話形式で自然と成形不良改善へと導いてくれます。
条件補正ガイダンスは、まるで熟練オペレータが傍についてアドバイスしてくれているようなユーザー体験を提供します。
Class1と同じくオプション機能であるClassAI:成形条件自動調整は、量産開始後の安定稼働条件調整をAIによる自動調整でサポートします(2025年1月リリース予定)。
成形が量産稼働に入った後は、材料や現場の環境に起因するバラつきがどうしても発生してしまいます(※)。
したがって、生産中の外乱に対応して、成形条件を調整することは、生産ラインを安定させるうえで重要な作業と言えます。
本来、一般的な射出成形機では、成形機因の計量・充填のバラつきも発生しますが、ソディックのV-LINE®式射出成形機は、材料を加熱・混錬する可塑化部と、計量・充填する射出部を切り分ける独自構造により、量産中に発生する成形機因のバラつきを最小限に抑えることができます。
成形条件自動調整は、金型内に設置されたセンサが取得した金型内圧力波形をインプットデータとして利用し、良品データを学習することで、稼働中の異常を検知し、成形条件の調整を自律的に行います。
成形条件自動調整を活用することで、本来は多くの工数がかかってしまう成形品のモニタリングと成形条件の調整を自動化し、成形ラインの生産性を最大化することができます。
今回は、ソディックが開発した射出成形条件設定サポート機能『成形ナビ』をご紹介しました。
成形ナビは、射出成形の立ち上げから安定稼働に至るまでの、上流から下流まで、成形初心者にもやさしいユーザーインターフェースで条件設定をサポートし、作業の効率化や、オペレータの育成コスト削減に貢献します。
成形ナビにご興味がございましたら、お気軽に、以下のリンクからお問い合わせください。