実機で学べる!成形アプリ体験会に参加して来ました!!<前編>

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産業機械
公開日2025.10.20 更新日2025.10.20
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こんにちは、SurVibes(さぁ!バイブス)編集部です!
今回は、9月8日にソディック加賀事業所にて実施されました『成形アプリ体験会』に参加して来ましたので、そのレポートを記事にまとめてみました。
成形現場の生産性を劇的に向上させる最新技術を、実際に触って学べる貴重な機会ということで、大変学びの深い1日でした!
当日の様子を画像付きで紹介していますので、次回以降のご参加を検討されている方はぜひ参考にご覧ください。

目次

体験会のコンセプト

労働人口の減少が問題視される昨今では、射出成形現場においても自動化・IoTによる生産性向上がより一層求められるようになっています。
また、人材の流動性が高まり、新人オペレータの教育コスト削減も現場の課題となっています。
ソディックでは、それらの課題を解決すべく、さまざまな技術・アプリケーションを開発しています!
この体験会はそれらに触れて・知っていただく機会を提供し、お客様の課題解決に貢献することを目的としています。

第1回体験会が開催されたソディック加賀事業所

体験会では製品開発を行うソディックの技術者から、各アプリケーションについて直接説明がありました。
開催後のアンケートでは、「技術の方から直接お話を聞けてディスカッションもできて非常に有意義でした」といったうれしいお声もいただけています。

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SurVibes取材担当
実は成形機に触るのは初めてなんですが…
今更ながらちゃんと操作できるか不安になってきました…
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成形アプリ開発担当
ご安心ください。
むしろそういった初心者の方でも簡単に成形が行えるよう日々開発を行っていますので、体験会が終わる頃には、「自分でもできた!」と自信を持っていただけると思います。

体験会のスケジュール

体験会は以下のスケジュールで実施されました(※)。

2025年9月に開催された際のスケジュールであり、内容は今後アップデートされる可能性がございます。

時間帯内容
10:00~11:30初心者歓迎!『成形ナビ』を使った成形条件出し体験
11:30~12:00 『金型内樹脂情報管理ツール』による成形センシング実習
『成形ナビClass-AI』機能解説
13:00~14:00『V-Connect Plus』による成形機の遠隔管理体験
『M2M』を使った周辺機器と成形機の一括管理体験
14:00~14:30新操作パネル『iXコントローラ』の機能紹介
14:45~16:00『Nendy-E』で学ぶ樹脂材料の粘度測定

盛りだくさんの内容ですが、座学ではなく実際に機械に触りながら学ぶことができるので、1つ1つの機能を深く理解することができます。

初心者歓迎!『成形ナビ』を使った成形条件出し体験

ここからは、実際の体験会の様子をレポートしていきます!
まず始めに体験するのは、成形条件出しをサポートしてくれる便利な機能『成形ナビ』を使った条件出しです。
成形ナビには、『Class0(標準機能)』、『Class1(特別装備品)』、『Class-AI(特別装備品)』という3つの機能が搭載されているのですが、このセクションでは『Class0』による初期条件の設定と、『Class1』による良品条件の確立に挑戦します。
成形ナビについての詳細は、以下の記事で紹介していますのでぜひ併せてご覧ください。

Class 0による初期条件設定

早速ですが、新規成形立ち上げを想定して、初回ショットの成形条件を作成します。

今回成形するサンプル(六角レンチ)

本来であれば、『色替え(パージ)設定』、『射出設定』、『型開閉設定』、『温度設定』といった項目から、多くのパラメータを設定する必要があるのですが、『成形ナビ Class 0』を使うことで、成形が初めての私でも、簡単に設定完了できるというのが今回のコンセプトです。
本当にそんなに上手くいくのでしょうか…?
早速条件設定に挑戦してみます!

今回使用する成形機『MS100G2』
型締め・型開閉共に電動式の最新モデルです(2025年現在)。

成形機操作パネル下部の『成形ナビ』というボタンをタップすると、成形ナビの開始画面が立ち上がります。

最新機種だけあって、パネルのUIやデザインが洗練されていますね✨
スマホアプリを触っているような使い心地です。

成形ナビを開始した後は、ガイダンスにしたがって必要事項を入力していきます。
入力する値は金型・成形品・材料の情報のみで、成形に詳しくない私でも手が止まることなく入力できました。
本来であれば、面倒な計算と幾らかの経験値が必要な設定値を、成形ナビが自動で計算・設定してくれるので非常に簡単・便利です!

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SurVibes取材担当
成形ナビのガイダンスが終わった後に、確認も兼ねて、『射出設定』や『型開閉設定』といった個別設定タブを開いてみたのですが、パラメータが多くて驚きました😲
成形ナビを使えば4ステップの簡単な質問に答えるだけですべて自動算出・自動入力されますが、本来はこんなに多くのパラメータを自分で設定しないといけなかったんですね💦
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成形アプリ開発担当
そうなんです。
成形ナビは段取り作業の効率化はもちろん、新人教育のコスト削減といった形でもお客様の生産性向上に貢献します。
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SurVibes取材担当
成形ナビのように作業自体を簡便化する仕組みを導入すると、作業マニュアル等の管理も楽になって現場は助かりそうですね。

そうして出来上がったものがこちらの成形品です!

参考として良品と比較すると、先端部分に樹脂が行き届いていない(ショートしている)ことが分かります。
通常、初回ショットはこのようなショートショットとし、この後徐々に充填量を増やしていきます。

Class1による良品条件の確立

続いて成形品の状態を見ながら、良品が取れるように条件を調整していきます。
しかし成形初心者の私では、成形品の状態を見ても、どのパラメータを調整したら良いのか、どれくらい数値を調整したら良いのか分かりません…

そこで活躍するのが今回体験する『成形ナビ Class1』です!
成形ナビは直接数値を入力することなく、「ショートショットである」、「バリが出る」といった症状について対話形式のやり取りを行うだけで良品条件へ導いてくれます。
まるで熟練の成形オペレータが傍についてくれているような安心感があります。

何度か成形ナビとやり取りしているうちに良品を取ることができました!

成形ナビにしたがって回数を重ねるごとにショートショットが改善されています(5回目で良品成形できました!)。
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SurVibes取材担当
数値入力が無いため、良い意味で機械を操作している感覚が無く、本当に「いつの間にか良品が取れていた」という印象でした。
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成形アプリ開発担当
熟練のオペレータであれば、初回の条件から1回~2回の調整で良品に辿り着けるかもしれません。
しかし人材確保が難しくなると言われるこれからの製造業においては、作業者の力量に依存しない再現性がより重視されるようになると考え、成形ナビを開発しました。

『金型内樹脂情報管理ツール』による成形センシング実習

続いては、『金型内樹脂情報管理ツール』による型内圧のセンシングを体験します。

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SurVibes取材担当
そもそもですが、金型内の圧力が見える化されるとどんなメリットがあるのでしょうか?
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成形アプリ開発担当
成形機側の射出波形(シリンダ内の圧力波形・速度波形)と比べて、金型内部の樹脂の圧力波形は、より顕著に、より敏感に成形結果を表します。
そのため型内圧データは量産中の品質モニタリングや金型の評価など様々な用途での活用が期待できます。

金型内樹脂情報管理ツールは、お客様がお使いの型内圧センサと成形機を接続することで、従来別個に管理されていた型内圧データを成形機側に取り込むことができるようになる特別装備品です。

成形機裏の端子台から型内圧センサのデータを取り込めるようになります。
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成形機にデータを取り込めるとどのようなメリットがあるのでしょうか?
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例えば量産中に不良が発生したとして、対象ショットにおける各種データを参照したい場合を考えます。
従来は成形機側のデータと型内圧データが別個に管理されていたので、データの紐づけが難しいという課題がありました。
成形機側に型内圧データを取り込んで一元管理できることで、データの一覧性が改善され、分析作業がスムーズになります。
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SurVibes取材担当
確かに、成形機のデータは成形機のパネルで確認して、型内圧データはセンサに付属のPC端末で確認するとなると、見比べているうちに混乱しそうですね…
特に量産中の成形データは膨大な量になりそうですし、成形機側で一元管理できている方がデータのトラッキングがしやすそうです。
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成形アプリ開発担当
他にも成形機側にデータを取り込めるメリットはありまして、それがこの後解説する成形ナビClass-AIへの活用と、午後の部で紹介するV-Connectとの連携です。
詳しくは後ほど解説しますので楽しみにしていてください。

『成形ナビClass-AI』機能解説

続いては量産中の条件調整をサポートする『成形ナビClass-AI』について、開発者の方から直接解説いただきました!
ソディックのV-LINE®成形機は独自構造により計量値と充填量のバラつきを最小限に抑制できるため、成形機因による成形品質への影響を最小限に抑えることができます。
しかしながら、樹脂材料や現場の環境といった外乱による影響もまた無視できず、量産開始後も、状況に応じて成形条件の調整は必要になる場合があります。
そんな成形現場の無人化・自動化に貢献するのが成形ナビClass-AIです!
成形ナビClass-AIは、先ほど紹介した『金型内樹脂情報管理ツール』から取り込んだ型内圧データをインプットとして利用し、良品データを学習することで稼働中の異常やその予兆を検知します。
異常を検知した成形ナビは、成形条件の調整を自律的に行うため、人手作業を削減でき、成形機の無人運転や自動化に貢献します。

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SurVibes取材担当
成形ナビが自律的に良品データを学習して成形条件を調整してくれるなんて、なんだか未来の技術という感じでワクワクしますね!
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成形アプリ開発担当
未来の技術に思えるかもしれませんが、人材獲得がさらに困難になると言われるこれからの製造業においては、こういった省人化アイテムはマストになるだろうと考えています。
まずはこの体験会が、こういった技術について知っていただくきっかけになればうれしく思います。

まとめ

今回は前編として成形アプリ体験会午前の部の内容をご紹介しましたがいかがでしたでしょうか?
午後の部ではリモート操作や周辺機器とのデータ連携といったIoT関連のアプリケーションや、『2024年 “超”モノづくり部品大賞 機械・ロボット部品賞』を受賞した溶融粘度測定装置『Nendy-E』を体験できるそうです。
ぜひ後編の記事も併せてご覧ください。

執筆者
 SurVibes編集部

SurVibes編集部

オウンドメディアの記事制作を担当しております。それぞれ違うバックグラウンドを持った20、30代メンバーを中心に制作。新しいことにチャレンジしながら、多くの先輩、関係者の皆様に支えてもらい毎日が勉強です!「つくる」にフォーカスした企画をいつも探しています。

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