ワイヤ電極線の選定ポイント!加工結果に影響する材質と線径について解説

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工作機械
公開日2025.03.24 更新日2025.03.24
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こんにちは、SurVibes(さぁ!バイブス)編集部です!

ワイヤ放電加工において、無くてはならないワイヤ電極線ですが、色々なメーカーが多種多様な製品を扱っており、違いがよく分からない...という方も多いのではないでしょうか?

そこで今回は、ワイヤ電極線の材質や線径について解説いたします。
もしかすると、今お使いのワイヤ電極線よりも、もっと適した製品があるかもしれません!
ぜひ最後までご覧ください。

目次

ワイヤ電極線とは

ワイヤ電極線は、精密加工や高硬度材料の加工を得意とするワイヤ放電加工(ワイヤカット)に使用される、ワイヤ線状の電極です。

ワイヤ電極線の写真

ワイヤ放電加工(ワイヤカット)は、電極と加工物の間に放電現象を発生させ、その熱により加工物を溶断する加工方法であり、ワイヤ電極線の材質や線径は加工結果に大きく影響します。
そのため、「スピード重視!」「精度を出したい!」などのお客様の要望にあわせて、様々な種類のワイヤ電極線が開発・販売されています。

この記事では、特に加工結果への影響が大きい材質による違いと、線径による違いに着目し、それぞれの特徴を解説します。

ワイヤ放電加工の仕組みについては、以下の記事で解説しています。

材質による違い

ここでは、材質によってどのような違いがあるのかを解説します。
ワイヤ電極線の材質による分類は、黄銅(真鍮)亜鉛コーティングピアノワイヤ電極線などがあります。

黄銅(真鍮)ワイヤ電極線

標準的な加工に用いられる、一般的な電極線です。
黄銅は、銅と亜鉛の混合材料で、「放電特性(火花の飛び)が良い亜鉛」と、「亜鉛よりもさらに剛性、真直性が優れている銅」とで構成されているため、使い勝手の良い電極線です。

黄銅ワイヤ電極線 断面イメージ
黄銅ワイヤ電極線 断面イメージ

銅と亜鉛の混合比率により、特性が異なります。

比率(銅:亜鉛)特性
60:40加工性能が良く、精密な加工が可能
65:35自動結線率を向上させる、高い真直性

亜鉛コーティングワイヤ電極線

黄銅ワイヤに亜鉛をコーティングした電極線です。
亜鉛皮膜によって放電が飛びやすくなり、黄銅ワイヤ電極線よりも加工速度が速いことが特徴です。

亜鉛コーティングワイヤ電極線 断面イメージ
亜鉛コーティングワイヤ電極線 断面イメージ

ピアノワイヤ電極線

中心にピアノ線を用いた電極線です。真鍮線やコーティング線よりも引張強度に優れていることが特徴で、線径が細くても強めにテンションを掛けることが可能です。
精密な最小コーナR加工スリット加工を行う場合にはピアノワイヤ電極線が適しています。

ソディック製品では、φ0.03㎜~φ0.1㎜までラインナップがあります。

ピアノワイヤ電極線 断面イメージ
ピアノワイヤ電極線 断面イメージ

その他ワイヤ電極線

上記3種類以外にも、メーカーによって様々なワイヤ電極線が開発されています。
例えばソディックでは、黄銅ワイヤと亜鉛コーティングワイヤの長所をあわせ持った『はやぶさEXワイヤ』(特殊コーティング)という製品が製造・販売されています。

『はやぶさEXワイヤ』は独自の製造技術により、一般的な黄銅ワイヤ電極線と同等な面粗さや高い形状精度を維持しながら、亜鉛コーティングワイヤ電極線に近い加工速度を実現しています。

くわしくはこちら

線径による違い

ここからは、線径による違いを解説します。
ワイヤ電極線は、加工したい形状に適した線径を選ぶことも大切です。

よく使用される線径

φ0.1mm~φ0.3mmが、一般的な線径とされています。
径が太いほど、加工への投入エネルギーを大きくでき、加工速度を上げることが可能です。
さらに、径が太いことで断線するリスクも低減するので、加工厚みがあるワークでは更にその効果を発揮します。

細線・極細線

一般的には、φ0.05mm~φ0.1mmは細線、さらに細いφ0.01mm~φ0.05mmは極細線※と呼ばれます。
線径が細いため、厳しいコーナRの指示がある加工や微細な形状の加工に適しています。

ソディックでは極細線をφ0.03mm以下としています。

ソディック製ワイヤ電極線

ソディック製ワイヤ電極線最大の特長は、工作機械メーカーであるソディックの放電加工機製造・開発ノウハウが取り入れられていることです!
そのため、放電加工機の性能を最大限発揮することができます。

ここからは、ソディックの高品質ワイヤ電極線をご紹介します。

ソディック独自のハイブリッドワイヤ

精度も速さも!『はやぶさEXワイヤ』

メディア画像

独自技術により、亜鉛コーティング線と黄銅ワイヤ線の長所を両取りしたイチオシ電極線!

なめらかな仕上げ面を実現しつつ、従来品の『はやぶさワイヤ』よりも加工速度と自動結線率が向上!

「加工時間短縮で生産性向上」「ワイヤ電極線の消費量削減でコストダウン」が可能に!

詳細はこちら

黄銅ワイヤ電極線

ソディック標準品!『つばめワイヤプラス』

メディア画像

荒加工から仕上げ加工まで、あらゆる用途に適応。

ワイヤ放電加工機を使うすべてのお客様におすすめ。テーパ加工も得意。

詳細はこちら

さらに精度重視の方へ!『つばめHQワイヤ』

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面粗度を厳しく要求する加工や、超精密加工に適した、高品質ワイヤ電極線。

線径公差(mm)が+0,-0.001のため、高い精度での位置出しが可能。

油仕様のワイヤ放電加工機に最適。

詳細はこちら

亜鉛コーティングワイヤ電極線

速さ重視の方へ!『e80ワイヤ』

メディア画像

加工速度が黄銅電極線より最大50%up。 ※当社比
荒加工領域にて威力を発揮。

また、超硬合金・チタン・インコネル等の難削材の加工にも優れた効果を発揮。

詳細はこちら

上記4種のワイヤ電極線の、加工速度面粗さ・形状精度の違いは、下記の図をご参照ください。

加工速度と面粗さ・形状精度の違い

ピアノワイヤ電極線

『APZ-HSワイヤ』『APZワイヤ』『APワイヤ』

メディア画像

高い真直性により自動結線率も高く、厳しいコーナRの指示がある加工や微細な形状の加工が可能。

『APZ-HSワイヤ』は、『APワイヤ』『APZワイヤ』と比較し、加工速度がさらにアップ。

▼詳細はこちら
APZ-HSワイヤ
APZワイヤ
APワイヤ

ワイヤ電極線に関する取り組み

ソディックは、ワイヤ電極線のリサイクルに関する取り組みワイヤ循環システムも行っています。

使用済みの黄銅(真鍮)ワイヤ電極線、亜鉛コーティングワイヤ電極線を無料で回収し、ソディック製放電加工機の新品消耗品で還元を行う、お得でエコなサービスです(ワイヤ電極線以外の消耗品とも交換可能です)。

ソディック以外の、機械やワイヤ電極線をご利用のお客様もご加入できますので、ぜひ以下の記事をご覧ください。

まとめ

今回は、ワイヤ電極線の選定に役立つ、材質や線径ごとの特徴について解説いたしました。
皆様のご参考になりましたら幸いです。

気になる点、お悩み等ございましたら、ソディックCS事業部(0776-68-0030)または、以下のお問い合わせからお気軽にご連絡ください。

監修者
株式会社ソディック CS事業部

株式会社ソディック CS事業部

工作機械メーカーであるソディックの放電加工機製造・開発ノウハウを取り入れた、高品質なワイヤ電極線をご提供いたします。

執筆者
SurVibes編集部

SurVibes編集部

オウンドメディアの記事制作を担当しております。それぞれ違うバックグラウンドを持った20、30代メンバーを中心に制作。新しいことにチャレンジしながら、多くの先輩、関係者の皆様に支えてもらい毎日が勉強です!「つくる」にフォーカスした企画をいつも探しています。

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