マグネットホルダ
ワイヤカット加工中に、中子の動きを固定するマグネットホルダです。
ワークが傷つかないように適度な吸着力にしてあります。
読了まで6分
こんにちは、SurVibes(さぁ!バイブス)編集部です!
精密な加工や高硬度材料の加工を得意とするワイヤカットは、金型製作や精密部品の製造など、様々な製造現場で活用されています。
しかしながら、国内の労働人口減少などに伴い、製造工程の自動化需要が高まる中で、ワイヤカットの自動化・省人化にはいくつかの課題があります。
その1つが、ダイ加工中に発生する中子の処理です。
今回は、ワイヤカットの自動化・省人化において、中子処理工程がどのように問題となっているのかを解説しつつ、ソディックが開発した自動中子処理装置『S3CORE』についてもご紹介いたします。
ワイヤカットの自動化・省人化によるコストダウンにご興味がございましたら、ぜひ最後までご覧ください。
ワイヤカットでダイ形状を加工する場合、下図のように、切り離された不要な部分が発生します。
これを中子(なかご)と呼びます。
中子を切り離した後に、機械をそのまま動かしてしまうと、中子が下ガイドと干渉し、機械停止・故障の原因になりえます。
それを防ぐため、中子を切り離すタイミングでは、マグネットを用いて中子を固定するといった方法がよく用いられます。
その後、加工を次のステップへ進める前に、作業者が手動で中子を取り除くのが一般的です。
この工程を中子処理と呼びます。
通常、中子切り離しが発生するダイ形状加工を行う場合は、切り離しのタイミングでどうしても人手作業が発生するため、1stカットから最終仕上げまでの連続自動加工を行うことができません。
特に中子が複数発生する多数個取り加工では、中子処理に伴う人的工数が多くなり、ワイヤカットの自動化・省人化における大きな課題となっています。
そこでソディックが開発したのが、中子処理の自動化装置『S3CORE』です。
S3COREは、ダイ加工中に発生する中子を、磁石で吸着し、専用のボックスへ自動で排出してくれます。
中子を切り離すタイミングでは、下方向からの噴流圧を調整し、できるだけ真直を保った状態で中子を降下させて下ガイドノズルで受けます。
この時、中子が接触することで下ガイドノズルが傷ついてしまわないよう噴流を調整する技術も、S3CORE開発におけるポイントの1つと言えます。
中子処理の課題解決には、『コアレス加工』という選択肢もありますが、コアレス加工はワイヤの消費量や加工時間が増加してしまうデメリットがあります。
一方でS3COREにはそういったデメリットは無いため、生産性を落とすことなく、1stカットから最終仕上げまで一連のプロセスを自動化することができます。
コアレス加工
ダイ加工を行う際、ワイヤ線の加工軌跡を穴の中央から渦巻き状に広げるように加工していくことで、中子を発生させない加工方法
例として、下図のようなプレートダイ加工を想定すると、1stカットと2ndカットの間に発生する有人の中子処理作業を全て自動化することができます。
人手による中子処理にかかる時間を1つあたり2分と仮定した場合、上図のサンプルワークでは、56ヶ所の中子処理が発生しますので、2分×56=112分(1時間52分)の有人作業となります。
S3COREを導入することで、この間オペレータは別の作業に従事できるようになりますので、工場の省人化に大きく貢献すると言えるでしょう。
今回は、ワイヤカットの自動化・省人化における大きな課題である中子処理と、ソディックが開発した自動中子処理装置『S3CORE』について解説しました。
同じく中子処理の課題解決手法であるコアレス加工を比較すると、S3COREにはワイヤ消費量や加工時間の増加といったデメリットがなく、生産性を落とさずに1stカットから最終仕上げまで一連のプロセスを自動化することができます。
中子処理の自動化や、ワイヤカットの自動化に興味がございましたら、以下のフォームより、お気軽にお問い合わせください。