


読了まで分
こんにちは、SurVibes(さぁ!バイブス)編集部です!
今回は、ソディック製マシニングセンタのフラッグシップモデルである『AZ275nano』が有する唯一無二の独自技術をご紹介します。
加工サンプルも併せてご紹介いたしますので、ソディックの製品開発力・世界最高峰の技術力をぜひ最後までご覧ください!
目次
AZ275nanoとは
『AZ275nano』は、ナノ領域における超微細・超精密加工と高速ミーリングの両立を追求すべく、ソディックが開発した世界唯一無二のマシニングセンタであり、その性能はソディック製マシニングセンタのフラッグシップモデルと呼ぶに相応しいものです。
AZ275nanoの特長
ここからは、超微細・超精密加工と高速加工を両立するためのAZ275nanoの特長を、開発背景と併せてご紹介します。
最大120,000 min-1の超高速スピンドル
超微細形状を加工するにあたっては、極細の工具(φ0.1mm以下)が必要になることはイメージしやすいと思います。
ここで考えなければならないのは、工具径と回転数の関係です。
工具径と回転数の関係
切削速度 [m/min] = (工具径 [mm] × π × 回転数 [mim-1])÷1000
工具径が小さくなればなるほど、同じ回転数でも切削速度(刃先の周速)は小さくなってしまいます。
そのため極細工具を用いて加工を行うには、相応の回転数が必要になります。
AZ275nanoは、最大120,000回転/分の超高速スピンドルを搭載しており、極細工具による超微細形状の加工を実現します。

▼サンプル概要
1辺8mmの範囲に、1辺0.5mmのポケットを7×7の計49箇所加工しています。
これだけの高速回転を実現しようとすると、一般的なマシニングセンタに使われるようなベアリング(転がり軸受け)では、摩擦・振動の影響が大きくなるため、AZ275nanoは非接触のエア軸受けを採用しています。
これにより、主軸の回転による摩擦・振動の影響を極限まで抑制しています。
アクティブ除振機構
極細工具による超微細加工をターゲットとして、超高速スピンドルを開発しましたが、回転速度を高めたということは、”理論上”、その分工具の送り速度を高めることも可能になります。
回転数と送り速度の関係
送り速度 [mm/min] = 1刃当たりの送り量 [mm](※) × 刃数 × 回転数 [min-1]
上の式の関係から、回転数が速くなればなるほど、理論的な送り速度の値は高くなります。
※工具メーカーが工具の剛性などを考慮して推奨する値
しかしながら、超微細加工で使用されるような極細工具を、上の動画のような高速・高加速度で送るとなると、工具折損のリスクがあります。
そのため、ナノ領域をターゲットとした従来の機械は、送り速度を制限する必要があり、加工に時間がかかってしまうという課題がありました。
その課題を解決すべく開発されたのが、『アクティブ除振機構(カウンターテーブル)』です。
AZ275nanoは、加工テーブルと逆位相に駆動する『キャンセル軸』をXY軸に搭載することで、重心位置の変動と反作用を打ち消し、高速往復運動によるテーブルの振動を極限まで抑制します。
このキャンセル軸には自社開発・自社製造のリニアモータが搭載されており、リニアモータ開発の内製化によって育まれたソディックの技術力が余すことなく発揮されています!


テーブルの駆動が反作用を引き起こし、マシン全体が振動してしまっていることが分かります。
テーブルと逆位相に駆動するキャンセル軸が反作用を打ち消し、振動を極少レベルまで抑制できています。
このアクティブ除振機構により、高速往復運動による振動の影響を気にせず送り速度を高めることができ、極細工具による超微細加工と、高速ミーリングを両立することができます。
AZ275nanoが実現する超高速高送り加工(ウルトラハイスピードミーリング)は、切込み量を少なくすることで刃先の切削負荷を極限まで低減する切削技術で、加工中の工具交換を最小限に抑えた超精密な加工を可能にします。
自社開発の新型NC装置『LN4AZ』
AZ275nanoがターゲットにするナノ領域の超高精度加工においては、工作機械を精密に動作させる制御システムが必要不可欠になります。
ソディックは工作機械だけでなく、それを制御するNC装置の開発・製造まで内製化しているため、AZ275nanoの性能を最大限に引き出すNC装置を自社で開発することができます。
そうして生まれたのが、ナノ加工領域の超高精度な位置決めを可能にするNC装置『LN4AZ』です!
LN4AZは、スケールフィードバックの分解能を従来モデルの3nmから0.1nmへと改良したことで、位置決め精度を飛躍的に向上させています。
LN4AZを搭載したAZ275nanoの位置決め精度を評価するため、0.01μm(10nm)刻みのステップ送り精度を試験したところ、忠実に指令値に到達していることが確認されました(ソディック調べ)。

グラフの値は0.002秒間隔で測定したスピンドル中心位置の単純移動平均値(0.05秒間)です。
加工サンプルのご紹介
それでは、AZ275nanoにより加工を行った、超微細・超精密加工サンプルをご紹介します。
超極細ピン841本の削り出し

▼ワーク材質・サイズ
STAVAX(HRC52)25mm×25mm×15mm
▼加工概要
直径0.02mm(L/D比15倍)の極細ピンを0.8mm間隔で合計841本削り出しています。
▼加工時間
荒加工:12h 7min 43sec(52sec/本)
仕上加工:15h 10min 34sec(65sec/本)
髪の毛の太さのおよそ4分の1にあたるφ0.02mmのピンは、わずかな工具の芯ブレや、マシンの振動が生じるだけで簡単に折れてしまいます。
また、微小量を正確に削り取るためには、主軸の高速回転と、移動軸の高加速度制御が必要不可欠です。
AZ275nanoは、超高速回転時の主軸の振れと高加速度移動時のテーブルの振動を、エア軸受けとアクティブ除振機構の採用という2つのアプローチでそれぞれ抑制しています。
さらに、この加工を行うにあたり、荒加工・仕上げ加工を合わせて、たったの2本しか工具を使用していません。
この結果から、毎分120,000回転という驚異の回転数と、唯一無二の振動抑制機構が実現する、超高速高送り加工の工具寿命延長効果を実感いただけると思います。
マイクロレンズ1,620個 レンズアレイ用金型加工サンプル

▼ワーク材質・サイズ
STAVAX(HRC52)25mm×25mm×15mm
▼加工概要
直径0.5mm、深さ0.15mmのポケットを、0.55mm間隔で1,620個切削しています。
▼加工時間
荒加工:13h 37min(31sec/個)
鏡面仕上加工:11h 15min(25sec/個)
こちらのサンプルでは、レンズ1箇所あたり1分以内で鏡面加工できており、超微細加工領域における高速加工を実現するAZ275nanoの脅威の性能が発揮されています。
製品資料のご案内
今回の記事ではお伝えしきれなかったAZ275nanoの詳細な仕様や寸法等については、以下のボタンから資料をダウンロードしてご覧いただけます。
まとめ
今回はソディック製マシニングセンタのフラッグシップモデルである『AZ275nano』をご紹介しましたがいかがでしたでしょうか?
AZ275nanoは、超微細加工・超精密加工領域における高速ミーリングを追求するというコンセプトから誕生し、そのために開発された唯一無二の機能が搭載されています。
毎分120,000回転の超高速スピンドルと、振動の影響を極少レベルまで抑制するアクティブ除振機構は、極細工具による高速ミーリングを可能にし、ナノ領域加工におけるゲームチェンジをもたらしました。
ソディック製マシニングセンタにご興味がございましたら、ぜひ以下のリンクよりお気軽にお問い合わせください。