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こんにちは、SurVibes(さぁ!バイブス)編集部です!
今回は、難しい加工や安定した連続加工を実現する、細穴放電加工機用パイプ電極をご紹介します。
ソディック製のパイプ電極は、国内で生産されている超高品質!な電極であることはご存じでしょうか?
細穴放電加工の精度・不良率・機械稼働率に課題を感じられている方は、ぜひ最後までご覧ください。
目次
パイプ電極とは
パイプ電極は、細穴放電加工を行う際に使用する電極の一種で、電極内部に加工液を流せるように中空形状になっています。

細穴放電加工は、複雑な電極形状を転写する形彫り放電加工とは異なり、ワイヤカットの前工程として加工物に「スタート穴」をあける下穴加工でよく用いられます。
しかし、その他の用途として、難削材と呼ばれる硬い材料の穴加工にも、細穴放電加工が使われています。

「電気が流れる限りどんなに硬い材料でも加工できる」という放電加工の特性を生かし、難削材のチタン合金やインコネルなどに小さい穴を開けることが可能です。
加工物の例として、航空・エネルギー業界で使用されるタービンや、通信業界の光ファイバ用コネクタ、医療機器などが挙げられます。
パイプ電極の種類
パイプ電極にはいくつかの種類がありますが、ここではソディックが販売しているパイプ電極に絞って、それぞれの特徴をご紹介いたします。

パイプ電極材質
ソディックのパイプ電極の材質には銅、真鍮(黄銅)、銅タングステンのラインナップがあります。
銅(Cu)
真鍮と比べて消耗が少なく、深穴加工や連続加工に適しています。
真鍮(BS)
真鍮は銅と比べて弾性が強いため変形しづらいという特長があります。
銅タングステン(CuW)
銅や真鍮よりも消耗が少なく、連続加工に適しています。
パイプ電極形状
ソディックのパイプ電極の断面形状には単管、2穴管、8管のラインナップがあります。
単管
加工物の上から下まで穴を開ける、貫通穴加工向きです。

段付き単管パイプという、外径が細い電極にシャンクの付いたパイプ電極もございます。
シャンクにより、剛性を持たせることで取り付け時の変形を防ぎ、クランプも通常サイズのホルダーで行うことが可能です。
段付き単管パイプは超微細加工に向いています。

2穴管・8管(コアレスパイプ)
径の大きい単管パイプで止まり穴加工(加工物を貫通しないで穴あけを途中まで行い底を残す)を行う場合、電極中心部分の削り残し(コア)が生じてしまいます。
そこで、電極内部に芯を設けた、コアレスパイプが開発され、径の大きい止まり穴加工でもコアを残さずキレイにくり抜くことができるようになりました。


断面形状には2穴管・8管の2種類があり、径の大きさに応じて、コアの残りにくさや加工液の流れなどを考慮した設計になっています。
高品質パイプ電極を使用するメリット
精密な穴加工を行いたい場合や、連続して複数の穴加工を行う場合、電極の品質がより重要となります。
品質の良いパイプ電極とは、ずばり
①真直性が高い
②バリが無い
③内・外径が安定している
という3つの性質を兼ね備えたものです。

では、パイプ電極の品質が高いと、具体的にどのようなメリットがあるのでしょうか?
高精度加工
細穴放電加工機は、パイプ電極を回転させながら加工するのが一般的です。
そのため、真直性が低い場合、加工穴の径が大きくなったり、加工穴の位置がずれたりと、狙い通りの加工ができない可能性があります。
高品質なパイプ電極を使用することで、寸法精度が改善され、狙い通りの加工ができます。

また、もしパイプ電極の断面にバリがある場合、放電エネルギーが集中し、異常放電の原因となってしまいます。内・外径のばらつきも、加工液が上手く流れず異常放電を引き起こす可能性があります。
バリが無く、内・外径が均一な高品質パイプ電極は、加工液がスムーズに均一量流れ、加工面質もきれいな仕上がりになります。

高難易度な斜面への穴あけ
品質の良いパイプ電極は、難易度の高い斜面への穴あけも可能です。
例えば、航空・エネルギー業界でよく用いられるタービンへの穴加工を考えてみます。

タービンの表面は湾曲しているため、パイプ電極がはじかれて穴の位置や向きがずれてしまったり、加工が途中で止まってしまったりといった不良・トラブルが発生しやすくなっています。

しかし、高品質なパイプ電極を使用すれば、電極がはじかれやすい斜面でも狙い通りの加工を実現できます。

安定した連続加工
複数の穴あけを立て続けに行う連続加工では、パイプ電極の品質が悪いと加工停止のリスクが高まります。
例えば、内・外径が安定していない場合、加工液の流れが不安定になり、加工チップがスムーズに除去できず、結果として加工停止してしまうことがあります。加工穴の深さが深いほど、そのリスクが高まります。
しかし、高品質なパイプ電極であれば、以下のような連続加工も安定して行うことができます。

加工が難しい超硬合金であっても、高精度な連続穴加工が可能
また、パイプ電極交換の時間・手間を省いてくれる自動電極供給装置を使用する場合も、パイプ電極の品質は大きく関わってきます。
もし、装置にセットしたパイプ電極にバリや穴の不貫通などの不良があると、エラーにより電極が交換できず自動運転の妨げとなってしまいます。
高品質なパイプ電極を使用することで、自動電極供給装置の効果を最大限発揮することが可能なのです。

自動電極供給装置AEF(Auto Electrode Feeder)
消耗した電極の取り外しと、新しい電極の取り付けを自動で行います。
1つのAEFで、最大40本の電極を入れることが可能です。(電極径φ0.5㎜の場合)
ソディック製パイプ電極のこだわり
ソディックのパイプ電極は、①高い真直性②バリ無し③安定した内・外径のため、難しい加工や安定した連続加工を実現します。
国産の高品質パイプ電極について、製造担当の方にインタビューしてみました!


検査・測定結果を定量的に評価する徹底した数値管理を行っており、基準を少しでも外れた電極は、一切製品として出しません。
1本1本全て、厳密な品質検査を行っています。



しかし、2穴管のような特殊形状でも、穴径を均一にできるのが弊社の強みです。


40年以上、国内工場で生産を行い、長年培ったノウハウでこれらを実現しています。




まだご使用されたことがない方で、特に連続加工を行うお客様にはお試しいただきたいです!
まとめ
今回はソディックが製造している高品質パイプ電極についてご紹介いたしました。
パイプ電極の品質は加工の精度だけでなく、機械稼働率にも影響しますので、ぜひ一度ソディックのパイプ電極を使ってみてください!
パイプ電極はソディック以外の放電加工機でもご使用いただけますので、少しでもご興味がございましたら、以下のフォームからお問い合わせください。