ミラブル型ゴム成形の新ソリューション
-材料供給から変える、ソディックのスタッファボックス-
射出成形需要が増加するミラブル型ゴム成形
液状シリコーンゴムに代表される液状射出成形(LIM:Liquid Injection Moulding)は、右下のように成形直前に二つの液状材料を混合・混錬して使います。一方、ミラブル型ゴム成形は、貯蔵寿命の長い一材型の材料を使います。ミラブル型ゴム製品の多くは、ワッフルアイロンに似た開放型システムである圧縮成形法で生産され、所定の重量にカットしたゴムを金型内に投入し加圧·製品化します。
しかし最近では、自動化· 省人化の取り組みや、液状材料に比べて安価で高強度なこと、高速加硫材が開発されたこと、小ロットの生産に向いているなどの理由から、材料の投入から製品の取出しまでをクローズドで行える、射出成形法への適用が検討され、徐々に需要が増えてきています。
ソディックは、これまでLIMで構築してきた、V-LINE®射出· 計量システムや成形技術を、このミラブル型ゴム成形にも活かして、生産性や製品品質の信頼性を向上させています。


ミラブル型ゴムと混入エアによる成形課題
ミラブル型ゴムは、粘土またはパテのような粘稠度を持っており、液状材料のように「ドージングポンプ(Dosing Pump):投与ポンプ」で圧送することができません。また、ロールによる混練り時は薄いシート状に、さらに成形用として砲弾形の塊に形成されます。この混練りと塊形成過程で右上のようなエアが混入します。
ミラブル型ゴムの代表的な成形品であるコネクタ防水シールなど、断面が波状の複雑な形状では、金型の最適な位置にエアベントを加工できません。このような場合、金型内を真空引きしても成形品の末端部分にはわずかなエア溜まりが発現し、未充填になることがあります。
金型の構造的にオーバーフローを設けられない場合は、特に金型の真空引きだけでエアトラップ(エア混入· 巻き込みによる気泡や未充填不良)による未充填を解決できません。
また、未充填対策として金型温度を下げると、加硫時間が掛かり、サイクルタイムの遅延につながり、生産性が低下します。

ソディックの熱硬化性用射出成形機 LSRシリーズ
ソディックは、独自開発のV-LINE®射出成形機において、熱硬化性プラスチック成形に最適化した「LSRシリーズ」をラインアップしています。
液状材料供給用のドージングポンプやミラブル型ゴム供給用のスタッファボックスを成形機への供給部にジョイントや搭載することで、低粘度から高粘度の熱硬化性プラスチック成形に対応します。

ソディックのスタッファボックス (Stuffer Box:材料供給装置)
砲弾形状のミラブル型ゴムを射出成形機に供給する専用装置が「スタッファボックス」で、射出成形機の動作と連動して駆動します。
ミラブル型ゴムは粘稠度が高く、材料に含まれるエアを脱泡装置などであらかじめ抜き取ることは困難です。このエアがそのまま金型内に進入すると、エアトラップとなり、金型内脱気(真空引き)だけでは解決できません。
ソディックは、材料を射出成形機に供給する前の段階で、真空脱気を行う機能を搭載した新しいスタッファボックスを開発しました。

スタッファボックス ラインアップ
ソディックは、【タイプA】材料押し込み標準型と【タイプB】脱気機能付き型をラインアップしています。
タイプA 標準型
高品位&高生産性のミラブル型ゴム成形を実現
横型射出成形機 LSR シリーズの材料供給部に搭載し、ミラブル型ゴムをフィードスクリュへ押し込む標準型のスタッファボックスです。
高推力の押し込みシリンダで、高粘度材料に対応します。供給量に合わせ、3litter、9litter の2 サイズをラインアップしています。
仕 様
適応機種(スクリュ径) | GL60-LSR(S28mm) GL100-LSR GL150-LSR(S28~S40mm) |
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投入材料容量 | 3、9 liter |
適用材料硬度 | ショアA50以下 |

タイプB 脱気機能付き型
“低含気量の材料供給”で、成形品のエアトラップを低減
横型射出成形機 LSR シリーズに搭載する新開発した「脱気機構付き」仕様です。タイプA:標準型より含気量の少ない材料供給を可能にします。これにより、金型内の真空引きだけでは解決できなかったエアトラップを大幅に低減できます。材料の特性に合わせたダイスプレート変換方式です。
仕 様
適応機種(スクリュ径) | GL60-LSR(S28mm) GL100-LSR GL150-LSR(S28~S40mm) |
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投入材料容量 | 3 liter |
適用材料硬度 | ショアA50以下 |
到達真空度 | 0.1hPa(真空ポンプが別途必要です。) |

脱気機能の効果
右図は、脱気のなし·ありの材料の加硫後を比較した拡大画像です。
金型に注入せずにそのまま加硫した場合、脱気処理なしでは大きな気泡となり硬化しているのがわかります。一方、脱気処理ありでは、このような気泡が確認できません。

脱気機能付きスタッファボックスによるソリューション
- 高密度な材料充填
加硫時間(硬化時間)の短縮
- 金型ベント構造の簡素化
金型メンテナンス頻度の低減
- 高含気率材料の使用
成形品質向上
- 生産性向上(サイクルタイム低減)
金型製作費削減
- 金型メンテナンス費削減
材料形成費削減(エア混入許容)