ものづくりの技ローラン技術

電極が消耗せずに加工できた。次に改善したいことは
簡単に側面がキレイに加工できること

側面をキレイに加工するためサイズの違う電極を使い分けていました

当時(1970年初めごろ)の放電加工機は、加工物を乗せて位置決めを行うための手動の位置決めテーブルと、電極を上から下に移動させて放電加工を進行させる加工ヘッドで構成されていました。
そのため側面方向もキレイに仕上げるためには、最初の形状電極とそれよりも少しずつサイズの大きい電極を2個くらい用意しておき、2回目、3回目の加工では電極を取り換えて、最初の電極で加工した放電エネルギーよりもエネルギーを順次小さくして加工する、といった方法でしか底面と側面の両方をきれいに仕上げることができませんでした。
そして、この少しずつ微妙に大きさの異なる形状電極を作るということはとても手間のかかることであり、電極を交換するため加工精度も高くすることが困難でした。

もっとキレイに正確に仕上げたい

従来の方法

加工断面

Q1これではコストも時間もかかる…
少ない電極で仕上げの加工まで出来ないだろうか?

ローラン
開発しました!

これにより、これまで課題となっていた加工側面の粗さを正確できれいに加工にする事が可能になりました。

電極を揺らす

ローランとは?

放電仕上げ加工のために電極を揺らす技術です。
それではローランについて詳しく説明していきます。

ローラン加工でなにが変わったの?

火花で加工する放電加工では、加工された部分は電極の形状よりも少し大きくなります。火花の強さによって、その大きさは異なり、強い火花ほど加工は速いですが、加工面が荒くなります。そのため、電極を徐々に加工したいサイズに合わせて大きくして、それに反して火花を小さくして加工面を仕上げていました。
しかし、、、それでは電極がいくつも必要で、加工面をキレイにしたいと考えるほど、時間とコストがかかってしまいます。

そこで、少ない電極で、キレイな加工面が作れないか・・・?
と考えた時、側面方向もキレイに仕上げるためには形状電極の側面方向の寸法を大きくすれば良いのですから、寸法を大きくする代わりに最初の電極をその寸法分水平方向に移動させても同じキレイな面が作れるはずだと考えました。

この発想から、放電加工機のヘッドの下に電極を水平方向に揺らす装置(揺動装置)を開発しました。そしてこの揺らす動作を数値制御により正確な量だけ好きな方向にコントロールし、少ない電極ですべての方向を精度よくきれいな面に仕上げられるようにした技術がローラン加工です。

ローランにより、電極と加工物の間隔を少しづつに小さくして、放電エネルギーも少しづつ弱めて加工することにより、小さな電極でも正確できれいな側面加工ができるようになりました。

電極減寸量とは

現在では放電加工機の制御はすべてNC化されているので、ローラン機能は放電加工機の基本機能として組み込まれていて特別な装置は必要なくなっています。

ローランでどのような形状のものが加工できるの?

それまで放電加工機はあまり実用的な機械ではでありませんでしたが、電極無消耗回路とローランが開発されたことで、あらゆる形状の加工が可能になりました。

シンクローラン

様々な電極形状に対応するための基本となるローランパターンが豊富で詳細な設定もできます。

シンクローラン

ローランの発明により、放電加工技術は美しい仕上がりを実現することが可能になったんだね!そのローランを正確に動かすためには正確な数値制御ができるとても優秀な頭脳が必要になるとおもうのだけど・・・?

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