ものづくりの技セラミックス

従来の図:放電加工機は色々な技術の連携からできているんだね。

「ローラン技術」で電極を消耗せずにワークの側面をキレイに加工することができるようになった。「NC装置」の自社開発・製造で、1マイクロメートル単位の位置制御が可能となった。

次に改善したいことは、機械本体の精度をさらに良くする事。

それは、周囲のどんな環境にも影響を受けない
ヘッドとテーブルを作ること・・・

それまでは、ヘッドと電極の間やテーブルとワークの間に絶縁用の強化プラスチック部材を使うのが主流でした。ただ、これらの素材は温度が上がると膨張するため、ワイヤ放電加工機でワークを加工するとワイヤの中心位置が変わってしまったり、形彫り放電加工では、火花が安定しないなどの問題がありました。

そこで、ソディックでは、正確な加工を実現するためには、強化プラスチックや鉄に代わる、新たな素材が必要だと考えていました。
様々な研究を重ねた結果、それを可能にしたのが、「セラミックス」でした。 ソディックでは、自社開発の放電加工機用の「セラミックス」を製造しています。

Q1そもそもセラミックスとは?

従来の窯業製品 ソディックの開発したファインセラミックス

セラミックスとは、
広く「(非金属・無機物の)焼き固めたもの」のことです。
身近なものには、陶磁器、レンガがあります。

そして、原料を科学的に配合し、新たに優れた特性を持たせたことにより、その性能を最大限に発揮することを可能としたものをファインセラミックスと呼びます。

最も代表的なファインセラミックスが「アルミナセラミックス」で、ソディック製セラミックス製品の多くに採用しています。このアルミナセラミックスは、酸化アルミニウムを主成分とする素材で高い強度を持っています。ちなみにこのアルミナが単結晶したものは、宝飾品のサファイアやルビーです。

Q2セラミックスは何処に使われているの?

主に、放電加工機に使われています。
形彫り放電加工機ワイヤ放電加工機のヘッド部分とテーブル部分の重要な部位に搭載しています。

セラミックスは主に放電加工機に使われています

Q3なぜセラミックスが必要になったの?

形彫り放電加工の場合

形彫り放電加工の場合:図解

火花で加工する放電加工では、絶縁が不十分だと、電極・加工物以外に放電エネルギが分散して、放電現象が不安定になります。安定した放電加工を行うためには、完璧な絶縁状態を持続することが大切です。

加えて、初期の放電加工機では、ヘッド部のみ、絶縁性を持つ強化プラスチック(ガラスエポキシ)が使われていました。
しかし、 「温度によって構造物寸法が変化する」「長期使用での強度不足」という問題がありました。
一方、このころのテーブルは鉄製でしたが、絶縁能力が不十分でした。そこで、石製のテーブルを採用しましたが、「原産地や使用する部位により、品質が不安定」「割れやすい点などの強度不足」という問題があり、強度が優れ品質の安定している素材でのテーブルが必要になりました。
これらの点を背景に、より微細領域での高精度・高品位な放電加工を可能とするため、
ソディックでは「樹脂+鉄材」「石」「セラミックス」など、様々な材料の放電加工機に対する適合実験を行いました。
この結果、 「セラミックス」がこれまでの諸問題をクリアし、放電加工機が求める特性を有する理想的な素材であることが判り、特に、最も完璧な「絶縁」を可能としました。

ワイヤ放電加工の場合

ワイヤ放電加工の場合:図解

鉄は1メートルの長さに対して、1℃温度が上がると10マイクロメートル膨張するため、ワイヤ放電加工機でワークを加工するとワイヤの中心位置が変わってしまいます。セラミックスはその2分の一以下の熱変位で収まります。
また、形彫り放電加工と同じく、正確な放電加工を行う上でワイヤ電極と加工物以外に電気を流さないセラミックスは完璧な素材でした。
さらに、ワイヤ放電加工機は、ワイヤ電極が常に水や油に浸かっているため、耐腐食性に優れるセラミックスは、この点からも好適な素材でした。

セラミックスの7つの特長

Q4なぜセラミックスを自社開発したの?

放電加工機テーブル

放電加工機のテーブルは、写真のような大型サイズ。大型のサイズになればなるほど、コストが高くなり、作るのが難しく、作っているところを探すのも大変でした。

そこで、ソディックでは、自社で研究、開発、製造をすることにしました。 当初ソディック製品で必要とする部材だけを製造していましたが、大型でしかも高精度のセラミックを生産できるため、他の分野からの需要も多く、今ではソディック製品だけにはとどまらず、測定器、半導体製造装置などを生産している企業へも提供しています。

直線形状のガイドなら、4メートルサイズ、平板形状の定盤なら、1.7メートル x 1.4メートルサイズのものも作ったことがあるんだって

ソディックのセラミックスの特長

  • 自社で開発、製造しているので、主軸スライダ、ワークスタンド、プーリなどの部品のセラミック化が自由にできる
  • 自社で開発、製造しているので、大型製品(液晶パネル等)の加工用のテーブルなど、世界最大級サイズのセラミック製品を作ることができる
  • 自社で開発、製造しているので、アルミナ以外のセラミックでも、お客様のニーズに合わせて供給することができる

X・Y軸直行スライダはセラミックスの変形しない特長を活かして、超精密機械のエアスライダやテーブルなどの主構造物に採用されているんだって

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